消費者・生活者委員会企画部会(座長 立石信雄氏)/3月13日

米国が日本の規制緩和に求めること


消費者・生活者委員会企画部会では、生活者の視点からみた規制緩和、民間慣行見直しの検討の一環として、米国大使館のマイヤーズ特別補佐官を招き意見交換を行なった。

  1. なぜ日本の規制緩和なのか
  2. 米国が日本の規制緩和を求めるのは、それが日本の市場開放を促し、ひいては米国の雇用につながるからである。現在、米国で貿易に関係する雇用は1,300万にのぼり、クリントン政権発足後だけでもその数は約 160万になるという。そのため米国は、貿易が雇用に果たす役割をますます重要視しており、貿易拡大のために海外市場の開放を求めている。
    規制緩和は、物価を下げ商品の選択肢を増やす点で、日本の消費者にも有益である。日本にきて一番最初に感じるのは何しろ物価が高いことだ。経企庁の内外価格差調査でも東京の一般物価はニューヨークの 1.5倍、食料品では 1.8倍にのぼるという結果が出ている。
    さらに規制緩和が進めば、新規事業の拡張も行いやすくなる。日本のあるコンピュータ関連会社の場合、国内で規模拡大に努めた結果、10年で750人になった。しかし昨年進出した米国市場では、企業合併等により1年で 5,000人の規模になったという。規制のない開放的な市場では、企業の規模拡大も簡単にできるということだ。

  3. 規制緩和の効果―米国航空業界の経験
  4. 規制緩和の効果としては、79年に始まった米国の航空分野での例が有名だ。規制緩和の実施当初は、効率の悪い航空会社を中心に倒産やレイオフが相次ぎ、規制緩和のマイナス面が指摘された。しかしその後、規制緩和による競争の活性化で、航空運賃は低下し、サービスも多様化している。規制緩和当時と現在とを比較すると、航空産業全体で雇用は20万人増えたという。
    他方、規制緩和による安全性への懸念もあったが、結局、安全でなければ乗客を失ってしまうわけで、そうした問題は出てきていない。

  5. 段階的でなく思い切った規制緩和を
  6. 米国が要求しているのは日本経済が「原則自由、例外規制」になることだ。この点で一番苛立ちを感じるのは、日本での規制緩和が「原則自由」に基づいて進んでいない点である。日本の規制緩和は、一歩一歩譲歩する形で段階的にしか進まない。一分野だけでも、思い切った規制緩和を実行してほしい。
    具体的に米国が関心を持っている分野は、農産物の植物検疫や通関手続き、大店法(完全な撤廃)、通信サービス分野などにおける規制緩和である。また先日の日米首脳会談でテーマとなった2×4住宅の分野でも包括的な規制緩和が実施されれば、両国に大変よい効果をもたらすと思う。


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