ソーベOECD貿易局課長との懇談会/3月13日

グローバル化に対応する改革とルール作り


経団連ではOECD貿易局のピエール・ソーベ課長を迎え、規制制度改革、貿易と投資、競争政策などのOECDの最新の課題や、現在進んでいる多国間投資協定(MAI)交渉について懇談した。同課長は、経済のグローバル化が進む中で、国境を越えて活動する企業に影響を与える各国の政府規制の改革や、貿易と投資、競争政策の包括的なルール作りを急ぐ必要性を強調した。以下は同課長の説明の概要である。

  1. 規制制度改革
  2. 経済のグローバル化に伴い、各国政府の規制が民間企業の事業活動に与える影響が増大している。そこでOECDでは、日本政府の強力な支持により、95年5月の閣僚理事会で、組織横断的な規制制度改革プロジェクトを進めることを決めた。
    現在、規制制度改革の
    1. 消費者への影響、
    2. 市場アクセスへの影響、
    3. 技術革新、企業経営への影響、
    4. 経済的効果、
    5. 規制制度改革と他の政策との関係、
    6. 規制制度改革推進のための政府機構改革
    の6つのテーマ別研究を、各担当部局で進めている。
    貿易局では、2項の市場アクセスへの影響について、国別の実例研究(ニュージーランド、欧州連合、日本)、指標作成、各国規制の相互認証の促進、競争政策と規制制度改革の相関関係の検討などを行なっている。
    テーマ別研究の結果は、96年10月から、
    1. 情報通信、
    2. 金融サービス、
    3. 専門サービス(弁護士など)、
    4. 農業、
    5. 製品・工程規格
    の5分野に適用され、実証された後、97年5月の閣僚理事会に最終報告が提出される予定である。

  3. コンテスタビリティ
  4. 世界貿易機関(WTO)などの多国間の枠組みや、地域統合が発達する中で、投資と競争政策に関しては包括的なルールがなく、ミッシング・リンクとなっている。
    そこでOECD貿易委員会では、82年に米国で発表された「コンテスタビリティ」という競争の概念をより緩やかなものとして借用し、貿易と投資、競争政策を同じ文脈の中で捉え、広い視野から市場アクセスを考える試みを2年間にわたり続けてきた。
    貿易と投資に関しては、現在、MAI交渉が進んでいる。ここでは、世界の対外直接投資の40%を受け入れるOECD非加盟国を、拘束力のあるMAIにいかに参加させていくかが課題となろう。
    貿易と競争政策に関しても、96年5月の閣僚理事会で合同ワーキンググループが設置され、今後10年を目途に、拘束力のあるルールや紛争処理メカニズムを作る予定である。アンチ・ダンピング、セーフガード、輸出自主規制などの通商措置を、競争政策的な視点から見直すことが重要である。


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