なびげーたー

日本からの投資を強く期待するロシア

経済協力部専門部長 江部 進


日本ロシア経済委員会とロシア日本経済委員会の第2回合同会議(日ロ経済合同会議)が3月26日から29日まで経団連会館で開催された。

第2回会議は、モスクワでの第1回会議から約2年9カ月ぶりで、日本での開催は初めてである。日本側から河毛委員長を団長に約110名、ロシア側からヴォリスキー委員長(ロシア産業家企業家連盟会長)を団長に、中央政府・極東行政府幹部や企業・団体幹部約70名が参加した。

昨年の日ロ貿易は約60億ドルと89年に記録した日ソ貿易の約61億ドルに届く水準とはなった。また、ロシアの最大関心事と言える外国からの投資では、数字は調査機関によって少々異なるものの、投資総額60〜70億ドルのうち米国が約20%、EUも同じ程度(ドイツ10%程度)であるのに比べ、日本からの投資は2%以下である。日ロ両国の経済力を考えるとこれらはまだまだ低い水準である。

日ロ経済合同会議は民間ベースのものであるが、政府間にも94年11月に設置された貿易経済委員会(日本側委員長 池田外務大臣、ロシア側委員長 ソスコベッツ第一副首相)がある。政府間委員会の会議は1週間前の3月20日にモスクワで開催されたが、2つの会議が狙いとするところは日ロ経済交流の活性化である。

われわれの会議で取り上げたテーマは対ロ投資と極東地域との経済交流の問題である。日本側は、活性化のためには、懸案の対ロ私的商業債権未払い問題の解決がまず必要であることと、ロシアにおける税制の簡素化・軽減、法律の整備、インフラの充実、契約の遵守など投資環境の一層の改善を図るべきことを強調した。ロシア側はかかる日本側の指摘を十分認識しつつも、米国などがロシアの大きな市場と高い収益を目指して投資しているのに何故日本が進出してこないのか理解できないと繰り返し述べていた。そこに見られるのは、やはり双方の対話不足であり、情報の不足である。

極東の問題では、大統領令に基づき策定された極東長期発展プログラムについてロシア側から説明があった。極東経済はもう後がない状況に近づきつつあると言われており、プログラムの実行を裏付ける政策と国内資金の確保を強く期待した。また、プログラムにも盛り込まれたサハリン大陸棚石油・ガス開発協力と第4次極東森林資源開発協力の早期実現が重要である。

会期中に行われた双方企業の商談数は150を越え、11件の契約・趣意書が交わされたという。会議の成功を盛り上げるものである。

会議の結果を受け、対ロ投資の促進と日本・極東間の経済交流拡大のため、投資会議やセミナーを開催し、双方極東専門委員会の年内会議を予定している。

会議で採択したメモランダムは10頁参照


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