塚原通産大臣との懇談会/3月25日

規制緩和等をめぐり塚原通産大臣と懇談


経団連では、行革・規制緩和等、当面の重要政策課題をめぐり塚原俊平通産大臣と懇談した。当日、通産省側からは大臣、政務次官他幹部25名、経団連側からは豊田会長、斎藤評議員会議長、関係副会長等29名が出席した。

  1. 塚原通産大臣挨拶要旨
  2. 景気対策が当面の最重要課題であり、予算の早期成立と切れ目のない経済運営が大事だ。政治的な切れ目が経済に影響している。政治と経済は密接な関係にある。現在では、政治だけでなく、経済も一流とは言い難いと思うが、それには政治にも大きな責任がある。政治がとるべき政策について、今後も適切な指導をいただきたい。

  3. 経団連側発言要旨
    1. 行政改革・規制緩和
    2. 「強靱な日本経済の再建」のための構造改革の第1の柱は行政改革である。行政改革の課題は多岐にわたるが、首都機能移転を行革実現の梃子とすれば、規制緩和が行革の基本である。「規制緩和推進計画」の計画改定にあたって行政改革委員会が首相に申し入れを行なったが、経団連としても行政改革委員会の意見を最大限尊重した改定が行われるようにお願いしたい。4月以降は、規制緩和が進まなかった農業、金融・証券、運輸、社会福祉等の分野に対する新しいアプローチの開発が必要であり一層の検討をお願いしたい。

    3. 税制改革
    4. 抜本的な経済構造改革のため、税制改革は中長期的展望の下に積極的に進められなければならない。直間比率の是正により、法人・個人の所得に対する課税を軽減していくことが基本的方向であるが、同時に、国・地方をあげた行財政改革の断行が不可欠である。具体的には、法人税、法人事業税の大幅な軽減を図り、国税・地方税を合わせた実効税率を少なくとも約4割とすべきである。また、連結納税制度を早急に導入することで、税制面での国際的整合性を図り、景気対策のみならず産業の国際競争力維持や外資参入促進にもつなげていくべきである。さらに、土地税制についても、地価税の廃止、固定資産税の負担軽減を図る必要がある。

    5. 新産業・新事業の育成と持株会社の解禁
    6. ベンチャー企業育成の施策の中で、ストックオプションが、新規事業法改正により実現したことは評価するが、ベンチャー企業に限らず既存企業がコーポレートベンチャーを進めるために、制度の一般化について支援してほしい。また、第2店頭市場の開設に続き、店頭登録制度改革ワーキンググループ中間報告の実現に尽力してほしい。持株会社は、柔軟な企業組織を作っていくために有効であり、その活用によって競争も促進され、雇用にもプラスになる。現行の全面的規制は明らかに過剰であり、一律禁止を弊害規制に改め、原則自由とする事が必要である。独禁法自体の規制が取り払われないままに公正取引委員会の事務局組織拡充が閣議決定されたことは、遺憾である。

    7. 環境問題・自然保護
    8. 地球温暖化対策については、産業界の取組みは相当進んでおり、CO2対策の国際的枠組みが決定される場合に、これまでの取組みが評価されるようお願いしたい。環境税については、世界で同時に導入するのでなければ産業の海外シフトを通じてかえってCO2排出が増加しかねない。廃棄物問題については、事業者、行政、消費者の適切な役割分担を踏まえた対応をお願いしたい。環境管理・監査ISO規格については、政府が一体となってその普及、啓蒙に取り組んでほしい。経団連自然保護基金による自然保護活動についてもご理解いただきたい。

  4. 塚原通産大臣応答要旨
    1. 行政改革
    2. 大きな政治課題と認識している。先送りになる部分もあろうが、3月末の規制緩和推進計画の改定および実行に前向きに取り組んでいくので応援してほしい。

    3. 税制改革
    4. 法人税負担については、今年暮れにかけて大きな議論になると思う。土地税制については、中途半端なものとならないようにしっかりとした税制を作りたい。

    5. 新規事業創出のための環境整備ならびに独禁法改正問題
    6. 通産省としては、画期的な施策を行なってきたつもりであり、さらに充実させたい。ストック・オプションについては、導入が決まったのは数社であるが、今後も施策を充実させていくとともに、商法改正の基盤を作っていきたい。
      持株会社については、今国会で独禁法改正が実現できるよう議論のたたき台を出していきたいが、9条が改正された場合のその他環境の整備について具体的に指摘してほしい。

    7. 環境問題・自然保護
    8. 環境行政については、環境問題の先駆者である産業界と相談して進めていく。国際的な対策作りについては、わが国は欧米とアジア諸国との調整をしていく立場にあるだけに、途上国への貢献を進めていく必要がある。ISO14000が制定された段階でJISを制定するとともに、ISOシリーズの普及を図りたい。ISOは、民間の自主的取組みであり、環境基本法・計画の精神にも合致している。


日本語のホームページへ