統計制度委員会(委員長 宮下武四郎氏)/3月15日

統計からみた最近の経済情勢
―日本銀行井上調査統計局審議役と懇談


統計制度委員会では、3月15日に会合を開催し、井上日本銀行調査統計局審議役より、統計からみた最近の経済情勢について説明を聞くとともに、意見交換した。併せて、政府の統計行革に対する経団連の取組みについて報告した。

  1. 井上審議役説明要旨
    1. 今回の景気立ち上がり局面では、設備投資、住宅投資、公共投資の効果が顕著には出ていないが、それは構造調整の圧力が大きく、その影に隠れているためであり、従来からの景気循環メカニズムはそれなりに働いていたことが、GDP統計などのデータで検証することができる。

    2. 景気の現状は、設備投資がいまひとつ元気がないことから、自律的な回復とは言えないものの、方向としては前向きに動き出している。このことは、例えば、2月の日銀短観では、主要企業、中小企業ともに生産設備や雇用人員の過剰感が前回に比べて低下していることや、96年度の売上高について主要企業が 2.1%、中小企業が 1.4%の伸びを見込んでいることなどにみられる。さらに、こうした見込みは、為替レートの前提を1ドル=98円程度として作られているため、現在の為替レートの状況が続くと、実際の数字は相当上ぶれる可能性が高い。

    3. 景気の自律的な回復の原動力となる設備投資は、どの統計調査をみても最悪期は脱しているが、回復のテンポは緩やかである。しかし、設備稼働率が90%まで上昇していることや、ここ数年設備投資が抑制されてきたこと、最近企業収益が改善していることから、今後、設備投資が増える環境は整ってきている。

  2. 政府の統計行革に対する経団連の取組み
    1. 統計制度委員会企画部会(部会長:福原耕 松下電器産業常務取締役)は、3月12日に、通産省の企業統計調査の体系的整備などについて、通産省の坂井調査統計部長から説明を聞いた。その際、通産省では、海外の現地法人の生産活動などについて四半期調査の実施を検討しているとの話があったが、これは記入者の負担を大幅に増加させる懸念があるため、経団連側から、今後意見調整が必要であるとの申し入れを行なった。

    2. 経団連では、総務庁が「統計行政の新中・長期構想」の実現に向けて設置した「報告時間に関する研究・開発ワーキング・グループ」に委員を推薦し、経済界の意見を反映するよう努めている。

    3. 統計制度委員会では、本年度も官庁統計の実施について、政府より合計70件の諮問を受け、関係企業や業界団体などの意見を参考に、調査内容の改善、簡素化について関係省庁と協議した上で、答申を行なった。


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