新産業・新事業委員会(委員長 大賀典雄氏)/4月2日

独立系ベンチャーキャピタリスト、
エンゼル(個人投資家)より話を聞く


ベンチャーキャピタルの積極的な活動に加えてエンゼルと呼ばれる個人投資家が活躍する米国に習い、わが国においてもベンチャー投資への機運が高まっている。そこで、米国での豊富な投資実績を持つわが国の独立系ベンチャーキャピタルであるテクノベンチャーの鮎川純太会長兼社長、ならびに、米国バイオベンチャー大手のジェネンテック会長であり、現在はエンゼルとして活躍中のロバート・スワンソン氏を招き、社内ベンチャーから生まれた企業への投資方策等につき、話を聞いた。

  1. 鮎川会長講演概要
  2. 鮎川会長

    社内ベンチャーがうまくいかなかったのは、振り向けられた人材がサラリーマンであることに加え、親会社のエース級の人材でなかったからである。日本を支えるエレクトロニクス産業や自動車産業は、非常に厳しい時代をくぐり抜けてきており、その結果として今日の姿がある。社内ベンチャーも同じことが言え、社内起業家は外に出して背水の陣で臨ませるべきだ。失敗への恐れがなければ、ビジネスプランやサポート体制が良くても成功しない。経営者は、社内ベンチャーからスタートした企業に対し、直接投資ではなく、ベンチャーキャピタルのような中立的な存在に資金を託すことにより、間接的に支援してほしい。そうすれば、「親に対する甘え」を払拭できるうえ投資リスクの緩和もできるはずだ。

  3. スワンソン氏講演概要
  4. 連邦政府のレポートによれば、1990年以降4年間で、従業員500人未満の企業が生み出した新規雇用は全体で800万人に上っている。これに対し、大企業の雇用は380万人の減となっている。エンゼルとベンチャーキャピタルの投資はベンチャー企業、ひいては新規雇用の創出を促している。日本にもベンチャーとして出発して成功した人達がいる。こうした人達の成功例をビジネススクールで教え、日本式ベンチャービジネスのモデルを作ることが重要だ。ベンチャービジネスは適切な人材を探すことから出発する。起業家とは、リスクを賭けて新たなことに挑戦できるような人物のことであり、そういう人を見つけなければならない。うまくいっていない会社では、失敗することを許容しているのではないか。
    大企業からスピンアウトして創業した企業へのリスクマネーの供給は、独立系のベンチャーキャピタルに資金を託して行うことが望ましい。若い優秀な社員を投資会社に派遣して学ばせれば、そのうち何人かはスピンアウトして成功することができよう。


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