国際租税委員会(委員長 坂野常和氏)/4月11日

大蔵省小手川国際租税課長、黒澤同課長補佐と懇談


国際租税委員会では、大蔵省の小手川国際租税課長、黒澤課長補佐を招き、米国の移転価格税制の罰則規則の内容およびOECD移転価格ガイドラインの検討状況を中心に、国際租税をめぐる最近の動向について、説明を聞くとともに懇談した。
以下は、大蔵省側の説明の概要である。

坂野委員長

  1. OECD移転価格ガイドラインについて
    1. OECDでは、移転価格ガイドラインの改定作業を進めているが、昨年7月に移転価格算定方法、執行手続きなどの基本的な部分を、本年4月に、特許、商標などの無形資産の国際的なグループ内取引の移転価格に関する規定等の部分を公表した。OECDでは引き続き、残された課題(費用分担取決め等)についての検討が行われている。

    2. OECDでは、各国の移転価格税制の執行状況を加盟国間でモニタリングすることとなっている。
      本年1月には、
      1. 各国税務当局は移転価格に関する法令等の変更などをOECD租税委員会に報告する、
      2. モニタリング結果をもとに、今後相互協議を含め移転価格税制適用上の問題点を議論する
      など、モニタリングに関する具体的な手続きが合意された。これにより、米国の執行状況の監視が可能となる。

  2. 米国の移転価格課税に関する罰則規則について
    1. 米国では、94年に移転価格課税に関する罰則の暫定規則が公表されたが、OECDガイドラインの公表やわが国をはじめ各国の批判に応え、本年2月に公表された最終規則は、いくつかの改善が図られている。

    2. 具体的には、
      1. 暫定規則では、移転価格の算定方法として利益分割法等を用いた場合、申告時に別添書類を要求されていたが、最終規則では削除された、
      2. 暫定規則では、納税者は課税年度終了後も申告時点までデータ収集を続ける必要があったが、最終規則では課税年度終了時点までで良いとされた、
      3. データ収集の程度については、納税者のデータ収集にかかる負担とデータの有益性を比較考量すべきとの規定が盛り込まれた、
      などである。

    3. 米国財務省では罰則監視委員会を設置し、各税務署が最終規則に沿った統一的な運用を行うよう罰則の適用を監視することとしている。大蔵省としても、今後の米国の罰則規則の執行状況を注視していきたい。


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