国際産業協力委員会(委員長 中村裕一氏)/4月12日

日米産業界は多国間投資協定(MAI)に期待
−米国国際ビジネス評議会と懇談−


国際産業協力委員会は、OECDにおけるMAI交渉の進捗とその影響を重視し、MAIワーキング・グループ(座長 山本幸助氏)を設置して検討を行なっている。このほど、米国産業界を代表して同協定に関する検討を行なっている米国国際ビジネス評議会(USCIB)のスティーブ・カナー副会長、クリス・ホール氏ら代表者一行と懇談した。日米産業界は今後、国際投資の整備において必要に応じ連携して活動することで一致した。

  1. USCIBの取組み
    1. USCIBは300余の多国籍企業から成り、国際的な投資・貿易の自由化を目的とする団体である。BIAC(OECD諮問委員会)に参加しており、92年にはBIACの国際投資に関する意見書作成に貢献した。これはMAIのコンセプトに寄与した。

    2. 昨年5月からのMAI交渉開始後、米国政府交渉担当官と、6週間に1度の交渉の前後にミーティングを行い、意見のインプットに努めている。

    3. 意見書作成、機関誌、米国内各地でのミーティング等を通じて、MAIの内容とその重要性の周知に努めている。

  2. MAIに関する米国産業界の考え方
    1. 経済成長と国民生活の向上のために産業界の国際投資の重要性が高まる中、市場アクセスを確保するためにMAIはハイスタンダードなものとするべきである。ハイスタンダードなルールこそ投資母国、投資受入国双方に恩恵をもたらす。

    2. OECD非加盟国のMAI加入は、猶予期間や留保を認め、段階的にOECD諸国の水準に近づけることで可能となる。

    3. 二国間投資協定やNAFTAの投資規則などの蓄積をOECDでの交渉に活かすことができる。NAFTAは域外からの在米法人を通じた対メキシコ投資を活発化するなど投資の面でも利点がある。なお、米国産業界は94年のAPEC投資コードに対して失望したが、今後も働きかけを続けたい。

  3. MAIに求める点(個別イシュー)
    1. 「投資の定義」はできる限り広義を採用し、直接投資・ポートフォリオ投資のいずれも含むものとすべきだ。また、企業が持つ有形・無形の資産、工場建設から知的所有権の行使まで全てを協定の対象とすべきだ。

    2. 内国民待遇を基本とする会社設立の権利を認め、最恵国待遇も保障すべきだ。また、設立後の内国民待遇、最恵国待遇を認めるべきである。

    3. 投資保護を確保するとともに、利益、資本、ロイヤリティ等全ての送金が自由に行われ、保護されることが重要である。

    4. 効果的な紛争処理手続きを構築し、投資家の選択で、国対投資家の紛争の既存の国際調停機関への付託を可能とすべきである。


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