なびげーたー

連結経営と連結決算・納税

理財部長 遠藤 博志


企業グループをめぐる法制度に大きな改革を加える必要がある。純粋持株会社の解禁、連結決算主体の開示制度の構築、連結納税制度の導入である。

わが国に連結財務諸表制度が導入されたのは、今から約20年前の1977年(昭和52年)のことである。当時は、子会社展開による経営の多角化・国際化の進展に伴い連結経営の重要性の認識が高まりつつあった頃である。
近年においては、円高への対応、メガ・コンペティションへの対応等から、海外進出、分社化が急速に進んでおり、連結経営の重要度は格段に増している。

こうした状況を背景に、経団連は

  1. 独禁法の改正により純粋持株会社を解禁すること、
  2. 連結納税制度を導入すること、
  3. 連結財務諸表を主たる財務諸表とすること、
を強く求めている。
純粋持株会社については、経営形態の選択肢を広げる観点から、規制緩和の一環として解禁を求めている。

連結納税制度の早期導入を

連結納税制度については、経団連はここ6〜7年、毎年の税制改正提言でその導入を要望している。純粋持株会社の解禁の要求との関連で、連結納税の導入論議がこのところ活発化してきた。ただ、純粋持株会社に限らず事業持株会社であっても同じく必要な税制である。本社内に事業をもつ場合と、分社化して事業を行う場合とで税制は中立であるべきだからである。税制の国際的整合性の見地からも必要である。米・英・独・仏など主要先進国はすべて本制度を導入している。
政府税調は今秋、中期答申を予定しているが、是非この中に本制度の導入を盛り込み、早期に導入すべきである。大幅な税収減につながるとの意見もあるが、経団連が本年3月にはじめて発表した連結納税のスキーム(経団連モデル)によれば、そのような懸念はない。

連結決算の位置づけを明確に

連結決算制度については、わが国の決算制度は商法と証券取引法の二元体制になっており、特に証券取引法上は、個別と連結について無原則に情報開示の拡充がすすめられている。今や、連結を主とし、個別を従とする新しい枠組みを構築すべきである。いずれ証取法上の有価証券報告書は連結財務情報を主体とし、個別の財務情報は商法上の計算書類を添付するという方向にもっていくべきであろう。経団連は近くこの構想を発表する予定である。
なお、連結納税は商法上連結決算が導入されなければならないとの意見もあるが、経団連の提唱する制度は、原則として 100%子会社の所得を合算して納税申告する制度であり、すべての子会社をとりこむ連結決算制度とは無縁のものである。連結決算を採っていない会社であっても導入ができるということである。


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