日本メキシコ経済委員会(委員長 久米 豊氏)/4月22日

メキシコ経済の現状と展望

―メキシコ商工省ザブルドフスキー次官よりきく


日本メキシコ経済委員会では、訪日中のメキシコ商工省のザブルドフスキー次官を招き、懇談会を開催し、メキシコ経済の現状ならびに展望について説明を聞いた。
以下は、その概要である。

  1. マクロ経済の現状
  2. メキシコ経済はこの1年で大きく改善された。金利は75%超だったものが35%程度にまで下がり、為替レートは1ドル7.5ペソ前後で安定的に推移している。300億ドルにのぼるテソボノスの債務償還もほぼ終了した。また、外貨準備高は150億ドル以上にまで回復した。経常収支については、輸出の好調に支えられ、ほぼ均衡状態にある。中でも、非マキラドーラからの工業製品輸出が50%にのぼる伸びを見せている。輸出総額は、95年では880億ドルと前年比30%増となった。輸出品の内訳を見ると、かつては85%を占めていた石油が11%にまで減少している。

  3. 通商政策
  4. 各種自由貿易協定(FTA)の締結は、市場へのアクセスだけでなく、明確なルールの設定等によりメキシコ経済に対する信頼性を高めることに大きく役立っている。
    NAFTA発効後、メキシコから米国、カナダ市場へのアクセスが大幅に拡大した。米国の総輸入に占めるメキシコ製品の割合は、93年の6.8%から、現在では8.2%となり、中でも鉄、繊維、アパレル等の製品が伸びている。
    さらに、地理的、戦略的利点を活用し、南米を始めとする世界の市場への架け橋となることを目指している。
    92年のチリを皮切りに、95年1月までに、コスタリカ、ボリビアそしてG3(メキシコ、ベネズエラ、コロンビア)との間でそれぞれFTAを締結した。現在は、ニカラグア、グアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル、エクアドル、ペルー、パナマとの間で交渉中である。これが実現すれば、米州ではメルコスールを除いたほとんどの国との間でFTAが締結されることになる。

  5. インフラの整備
  6. セディージョ政権は、金融危機からの回復に努力するとともに、経済改革をより一層強力に推進している。特に、インフラの近代化については、憲法の改正を含む法整備が行なわれ、国家独占分野への民間資本導入を検討し始めている。自由化の対象分野としては、鉄道、港湾、航空、電気通信、ガス販売・供給・貯蔵、金融サービス等がある。

  7. 96年の展望
  8. これまでの努力の成果が、経済指標に具体的な数字として現れてくるだろう。96年の第2四半期では対GDP比5%の成長が見込まれ、96年を通した年率3%成長も不可能ではない。


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