第8回評議員懇談会(進行 齋藤 裕評議員会議長)/4月22日
首都機能移転、企業人の政治参加、今後の金融行政について意見交換
経団連では、評議員の意見を事業活動に反映させるとの観点から、春と秋の年2回、評議員懇談会を開催し、分科会形式で、時々の重要政策課題について意見交換を行なっている。
第8回評議員懇談会では、「首都機能移転」「企業人の政治参加」「今後の金融行政」の3つの分科会を設け、意見交換を行なった。以下は、各分科会の概要である。
- 首都機能移転について
(第1分科会 司会:歌田 勝弘副議長)
歌田副議長
- 首都機能移転に積極的な意見
- 中央官庁のスリム化のために、今が首都機能移転の好機である。
- 首都機能移転によって創出される雇用、経済効果は大きい。
- 災害時に経済、政治等の機能が麻痺する危険性を未然に防止する必要がある。
- 東京の人口過密の抑制に役立つ。
- 首都機能移転に消極的な意見
- 首都機能の移転が必ずしも行政改革にはつながらない。例えば首都としての東京の機能向上や地方の強化を図ることで行政改革等を推進することも可能である。
- 東京一極集中になったのは、東京が経済の中心地であることが原因であり、官庁や国会を移転しても、一極集中の問題は解決しない。
- 首都機能移転はバブル期に決定されたことである。状況も大きく変化した現在、その必要性を再検討すべきである。
- 首都機能移転は後々まで重い財政負担を国民に残すことになる。
- その他
- 首都機能移転について、移転の対象となる首都機能は何か、移転地での土地の利用形態はどのようになるのか等々、詳細 な検討を行ない、国民のコンセンサスを得る必要がある。
- 先に首都移転を実施したブラジル等をみると、首都移転には良い面も悪い面もある。わが国も、今後両面をよく検討していく必要がある。
- 企業人の政治参加について
(第2分科会 司会:川勝 堅二副議長)
川勝副議長
- 企業人政治フォーラムの活動に対する評価、提案、留意事項など
- 企業人が政治家に提言したり、政治家の育成に寄与するという、フォーラムの活動は評価できる。
- フォーラム内で、日本の政治が抱えている諸問題について、自由に討議できるようにすべきである。形骸化させないためには活動を広げ過ぎないようにすべきである。
- 官僚やマスコミとのコミュニケーションも、並行して行なうべきである。
- 政権が交代しても経団連は常に与党と協調するという、方向性を打ち出しておくべきである。
- 各政党との距離をどのように保つのか、考慮すべきである。
- 政治家の道具として、扱われることのないようにしてほしい。
- 政治家の育成策
- 良い政治家を育成するために、経団連が政治家に関する情報を集積し、その情報をメンバーに提供する等、組織的に働きかけることも一案である。
- 国民自身が、政治家を判断する力を養うという意味で、個人献金は有効である。
- 政治の活性化に向けた取り組み
- 国民の政治参加意識を高めるには、経団連会員企業のトップが先頭に立って活動する、企業内で選挙の重要性を啓蒙する 等も有効であると考えられる。
- 企業での啓蒙活動よりも、政治家が良い政治をすることが国民の政治への関心を高める最良の手段である。
- 今後の金融行政のあり方について
(第3分科会 司会:羽倉 信也副議長)
羽倉副議長
- 金融行政の基本的方向と、市場重視の行政実現に向けて整備すべき前提条件
- 行政指導型の行政を脱し、グローバルな基準に基づく金融行政に転換する。
- 金融商品・サービスの多様化に伴って増大するリスクを、金融機関の健全な経営にどう取り込んでいくか、行政がどう監督するのかが課題となる。
- 規制緩和を推進し、官民の領域を見直す。
- 投資家の自己責任原則の徹底、市場ルール遵守の意識向上を図っていく。
- 破綻金融機関の処理に際して、あらゆる面での透明性・情報開示が必要である。
- 公的金融問題
- 財投機関は、民間だけでは対応できない業務を行なうべきである。
- 財投機関には、毎年多額の補給金が出ているが、市場の金利機能を阻害してまで行なうべきかどうか、疑問を感じる。
- 郵貯・簡保の改革は、郵政族がいる政治には任せておけない。経済団体がマスコミと協力して改革を訴えるべきである。
- その他
- 住専問題は不良債権問題の氷山の一角であり、不良債権の全体像の解明とその解決を急ぐべきである。
- 不良債権問題の深刻化は自らのリスクで金を貸す間接金融の限界をも露呈した。今後、これまでの直接金融偏重から、直接・間接金融のバランスのとれた金融システムを実現していかねばならない。
- 日本の金融市場が世界から頼りにされ、利用されるような手を打っていくべきである。
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