財政金融委員会(委員長 樋口廣太郎氏)/4月25日

金融・資本市場空洞化問題について
大場国際金融情報センター理事長と懇談


財政金融委員会では、4月25日に会合を開催し、大場智満国際金融情報センター理事長から、外為法の見直しを含めた金融・資本市場の空洞化問題について、説明を聞くとともに、意見交換を行なった。
併せて、財政金融委員会企画部会でとりまとめた提言の審議を行なった。

  1. 大場理事長説明要旨
    1. 1984年の日米円ドル委員会以降、日本は、金融・資本市場の自由化を進め、一時はヨーロッパ市場よりも日本市場の方が自由と認識されるまでになった。しかし、欧州委員会が1990年までに資本移動の完全自由化を実施する指令を出したことを背景に、欧州の金融・資本市場の自由化が急速に進展し、日本市場は先進諸国の中で一番自由化が遅れてしまった。

    2. 現在、日本には、個人のドル円交換ができない、外国の銀行に円建で預金をする場合には許可が必要、などさまざまな規制があるが、諸外国では平時の取引はすべて自由となっている。日本でも、有事の際の取引などについて法律改正を検討するとともに、それ以外のものは原則自由の下に早急に規制を撤廃していく必要がある。

    3. そこで、外国為替等審議会の専門部会では、欧米並みの自由化を進めようと現在審議を行なっており、6月中には報告を提出する予定である。

    4. 自由化を進める上で、まず有事規制が問題になる。現在は、為銀主義により、外為公認銀行にすべての外為取引の届け出義務を課しており、有事の際には、その能力を活用して対応することが可能である。外為公認銀行を通さない取引が可能になれば、有事の際の規制をどのように行なうか、検討が必要である。

    5. 次に、報告の問題がある。欧米では、平時における取引は自由であるが、事後報告義務を課しており、義務違反には罰則を設けている。日本でも、規制を緩和する一方、報告義務を課し、違反者には罰則を課してはどうかと個人的に考えている。ただし、罰則を設けるのであれば、現在銀行や企業に課されている膨大な数の報告を、必要最小限に絞る必要がある。

    6. 外為法の改正の手続には、1年以上を要すると思われる。そのため、規制緩和は、法律改正を行なう必要があるものと、政省令の改正で対応可能なものとに分ける必要があり、可能なものから規制緩和を進めていくべきである。

  2. 提言案の審議
  3. 併せて、財政金融委員会では、同企画部会でとりまとめた「我が国産業の活性化と、金融・資本市場の空洞化対策」に関する提言を審議し、了承した(次号詳報)。


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