放送政策部会(部会長 北島義俊情報通信委員会委員長代行)/4月24日

2010年の放送の姿を検討


郵政省は4月8日、光ファイバが全世帯に普及していると予想される2010年の放送の姿について、CATV、衛星放送、地上放送の3つのメディアの発展状況(普及率、デジタル化率、チャンネル数)と市場規模の予測を基に、放送事業の変貌の可能性と放送のトータルイメージを描いた「放送高度化ビジョン(中間報告)」を公表した。同省は広く国民の意見を求めており、情報通信委員会では標記会合を開催、郵政省の須田放送政策課長より、ビジョンの説明を聞くとともに、懇談した。以下は須田課長の説明の概要である。

北島部会長

「放送高度化ビジョン」の作成に当たっては、
  1. 自由かつ柔軟な発想、
  2. CATV、衛星放送、地上放送の各メディアの伝送特性を重視、
  3. 国際的な潮流への配慮、
  4. 視聴者の視点の重視、
  5. 産業としての放送への留意、
  6. 飛躍的な技術開発への留意、
の6点を基本とした。

2010年の放送メディアの発展状況として、

  1. CATVは6割程度の家庭にデジタル化、多チャンネル化( 200〜 250程度)した放送を提供しており、
  2. 衛星放送はCATV経由と直接受信を併せて8割以上の家庭にデジタル化した多チャンネル放送( 400〜 500程度)を提供しており、
  3. 地上放送は全体的にデジタル化、チャンネル数も20〜30まで需要に応じて増大、移動受信のニーズにも対応している、
と予測した。

放送市場の将来規模については、

  1. 1996年から2010年の間に、CATV、衛星放送は、6〜7倍に伸び、有料放送の分野の比重が高まる。
  2. 地上放送の伸びは経済の伸びと同程度の1.6倍と予想したが、デジタル化により新しいサービスを開始すると大きな変化も期待できる。
  3. 民放全体としては、約2倍と予想したが、デジタル化によりさらに他の産業分野を取り込む形で発展する可能性もある。

2010年の放送における連携と競合の例を予測すれば、

  1. CATV経由の衛星放送視聴、
  2. 地上放送と衛星放送間の番組の相互供給、
  3. CATVと地上放送の地域内での競合、
  4. 衛星放送と地上放送ネットワークとの競合、
などが考えられる。

今後の行政運営として、

  1. 放送のデジタル化のための総合的な取り組み、
  2. デジタル化を念頭においた新しい放送行政の枠組み構築のための中長期的検討、
  3. 誰もが放送の高度化を享受できる環境の整備への配慮、
  4. 放送ソフトの高度化・多様化のための取り組み、
  5. 放送技術の高度化のための総合的研究開発体制の整備、
を行なう。

なお、このビジョンは今後の放送行政を考える議論のたたき台と考えており、目標とは考えていない。


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