経団連提言/5月8日

連結情報を主とした新たな開示制度を求める


経団連では、5月8日に経営・会計委員会(委員長:藤村正哉氏)を開催し、見解「連結財務諸表のあり方に関する基本的考え方」を取りまとめた。(5月14日の常任理事会において正式決定)
連結経営の進展に伴い、連結情報を主体とした新たな開示制度の枠組みが必要となってきている。見解では、証券取引法上は連結財務諸表を主たる財務諸表として位置づけ、連結情報の開示を主、個別情報の開示を従とすべきであると提言し、当面の課題として連結情報を重視しつつ個別情報の思い切った簡素化を図ることを強く求めている。今後、見解の実現を企業会計審議会をはじめ関係各方面へ働きかけていく。以下は見解の要旨である。

  1. はじめに
  2. 企業活動の国際化、分社化経営の進展など、企業経営が大きく変化するなかで、企業内容のディスクロージャーにおける連結情報の役割が重要になっている。企業の実務対応を踏まえつつ、連結経営に対応した有用な情報を開示していくためには、ディスクロージャーの中での連結情報の位置づけを明確にし、連結ベース、個別ベース、それぞれの開示内容の見直しを行なっていく必要がある。

  3. 連結財務諸表と個別財務諸表の位置づけについて
    1. 証券取引法上は、連結財務諸表を主たる財務諸表として位置づけ、連結情報の開示を主、個別情報の開示を従とすべきである。
      商法上は、従来通り、個別情報を主とする。
    2. 当面、証券取引法上の開示については、連結情報を重視しつつ、個別情報の思い切った簡素化を図ることが急がれる。
    3. 中長期的には、証券取引法上の開示は連結情報のみとし、個別情報は商法上、株主に送付する計算書類を添付する形とすることが望ましい。

  4. 証券取引法上の開示内容の見直しについて
    1. 開示に関する企業の実務負担は限界に近づきつつあり、これ以上の負担の強化にならないようにすべきである。
    2. 連結を重視した開示へ移行する場合には、(1)現行の連結情報の見直し、(2)一定の範囲での個別情報の連結ベースへの統合、(3)現行の個別情報の簡素化の3つをあわせて行なうことが必要である。
    3. 商法と証券取引法で異なった様式、記載事項の開示が求められている個別情報については、両者の統一を図るべきである。
    4. 連結情報を主たる情報とする場合でも、情報の有用性、コスト・ベネフィットを踏まえ、できるだけ簡素化した形での開示とすべきである。
    5. すべての開示項目に重要性の判断基準を取り入れ、重要性のない情報については、記載の省略を図るべきである。

  5. 連結手続き等について
  6. 連結範囲の判定基準の見直し(支配力基準の導入)等、連結手続きの見直しに当たっては、国際的な調和の観点を踏まえ、実務上の混乱や負担の増加につながらないよう検討を行なうことが重要である。


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