経済調査常任委員会(委員長 石川 武氏)/5月9日

景気認識と今後の経済運営をめぐり小林経済企画庁事務次官と懇談


経済調査委員会では、常任委員会を開催し、小林経済企画庁事務次官を招き、景気認識と今後の経済運営をめぐり懇談した。席上、小林事務次官は、わが国経済は民需主導の回復に移行しつつあるが、短期的な明るさにとらわれることなく、高コスト構造の是正・活性化など構造改革を断行していかねばならないと述べた。経団連側からは、景気が自律的な回復軌道に乗るかどうか微妙な段階を迎えているなか、経済情勢の早期かつ的確な把握のため経済統計、とりわけGDP統計速報の速報性の向上が必要であるとして、経企庁側の取り組みを強く要請した。

石川委員長

  1. わが国経済は緩やかに回復している。主に公共投資、住宅投資など政策関連需要が景気回復を牽引しているが、最近では個人消費(特に、百貨店販売、家電、自動車販売等)や設備投資に明るい動きが広がっている。これはわが国経済が民需主導の自律回復に円滑に移行していくことを示している。今後、設備投資計画がどの程度上方修正されるかが注目される。

  2. 経済のグローバル化が進むなか、短期的な明るさにとらわれることなく、構造改革を断行していかねばならない。そこで、経済審議会は昨年「構造改革のための経済社会計画」をとりまとめた。この最大の特徴は「高コスト構造是正・活性のための行動計画」と題し、公共工事、物流など10分野につき具体的目標・対応策をはじめて提示したことである。今後、経企庁としては計画の毎年の達成状況をフォローするだけでなく、その実現に向けて、各省庁と連絡をとりたいと考えている。

  3. 橋本総理の強い指示により、経済審議会では新たに首都機能移転委員会を設置した。
    首都機能移転は経済活力の維持につながるとみている。

  4. 当面の経済運営については、政府内では補正予算に関する議論は未だ行なわれていないが、わが国の財政状況が著しく疲弊している点にも十分に留意する必要がある。
    消費税の5%への引き上げは実現すべきと考える。これ自体は景気にマイナスの影響を及ぼすが、先行的に実施された所得税減税の効果を含めた税制改正トータルではGDPに対して0.5%プラスに作用すると試算される。


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