環境安全委員会地球環境部会(部会長 加納時男氏)/5月15日

エントヴェン欧州委員会11総局長より欧州における環境政策について聴取


環境安全委員会地球環境部会(部会長 加納時男氏)では、5月15日、エントヴェン欧州委員会11総局長より、持続可能な開発に向けた欧州委員会の取り組みなどについて説明を聞いた。以下はその概要である。

  1. 持続可能な開発に向けた戦略を立案
  2. 欧州委員会は93年、持続可能な開発に向けた第5次行動計画をまとめた。この中で、環境保全に向けてより包括的なアプローチを行なうべく、(1)農業、(2)運輸、(3)エネルギー、(4)工業、(5)観光の5つを重点分野として掲げ、特にこの分野の政策立案にあたっては、環境対策との連携を重視することとした。
    この第5次行動計画の特徴は、「責任の共有」を盛り込んでいることである。従来の政府と規制される側という図式でなく、政府、経済界、学界、NGOが同じ目的のために同じ責任を分かち合わねばならないことが示された。
    この計画のレビューを行なったところ、目標達成に向けて有効に機能しているが、工業セクターにおける環境への取り組みに比べ、農業、運輸部門における環境保護策が十分でないとの結論が出された。
    欧州委員会は、持続可能な生産・消費のための施策を検討中だが、ベースにある考え方は「環境効率性(エコ・エフィセンシー)」である。

  3. 欧州における環境政策の動向
    1. オランダでは、環境分野での政府と産業界との自主協定が、成果をあげている。さらに、確実に成果を上げる意味で、取り組み状況のモニター制度の導入などが期待されるところである。
      欧州委員会としては、自主的協定の内容が、EU法にどのように位置付けられるか検討したい。

    2. 企業の自主的取組みを担保する環境監査については、EMAS(環境管理・監査スキーム)の発行後、多くの欧州企業が認証を取得、もしくはその準備を行なっており、大いに成果を上げている。
      ISO 14000とEMASの違いはそう大きくないが、相違点を埋める努力をする必要がある。


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