経団連自然保護基金運営協議会(会長 後藤康男氏)/5月10日
経団連自然保護基金
96年度支援プロジェクトを決定
経団連自然保護基金では、内外のNGOが発展途上国において実施する自然保護プロジェクト、および自然保護に携わる人材育成にかかわるプログラムを支援してきている。本年度は5月10日のプロジェクト認定委員会において51件の申請プロジェクトのうち、計38件(継続23件、新規15件)、総額1億3,200万円ほどを支援することを決定した。新規プロジェクトの概要は以下の通りである。
- 国内NGO実施プロジェクト(6件)
- フィリピン・マングローブ林再生
自然生態系の復活を目指し、西部パラワン島の海岸線にマングローブを植林する。
〈財団法人オイスカ〉
- 中国・沙漠緑化と環境保全
ハラサ砂漠など5万ヘクタールに対して、植林・空中播種等を行ない、人間の営みや多様な生物の生息を可能にする砂漠緑化プロジェクトを実施する。
〈地球緑化センター〉
- ブルキナファソ環境保全
植林用育苗所を設置し、アグロフォレストリーのための植林用苗木を育成・供給する。
〈緑のサヘル〉
- マリ・環境保全による砂漠化防止
住民を対象とした環境学習と防砂・防風林の造営を行ない、アグロフォレストリーを導入する。
〈西アフリカ農村自立協力会〉
- 釧路・東アジア国立公園保護地域会議
自然保護地域の充実・強化の方法について、日本の事例を題材に使い、東アジア各国の専門家と情報交換・研修を行なう。
〈東アジア国立公園保護地域会議日本組織委員会〉
- マレーシア・湿地生物多様性の意識促進
学生達に、自然界の生物多様性がいかに微妙なバランスの上に成り立っているかを、教室・野外の両面で学習させる。
〈国際湿地保全連合日本委員会〉
- 海外NGO実施プロジェクト(9件)
- インドネシア・トギアン諸島における生物多様性保護のためのエコツーリズム開発
陸生・海洋生態系に多数の固有種が生息するインドネシア・トギアン諸島において、持続可能な方法で現地コミュニティーに収入をもたらすエコツーリズムを開発する。
〈コンサベーション・インターナショナル(米国)〉
- ミクロネシア・ポンペイ水源保護
ミクロネシア連邦ポンペイの貴重な生態系を維持している水源の保護を現地政府・コミュニティーと協力しつつ実施する。
〈ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(米国)〉
- フィリピン・パラナン地域の熱帯林保護
生物学的に貴重なフィリピン・ルソン島東北部のパラナン原生地域の保護プロジェクト。森林調査、持続可能な産業開発、人材交流、研修の4事業を実施する。
〈スミソニアン研究所(米国)〉
- ネパール・ルンビニ地域におけるサルス鶴の保護
世界的に稀少なサルス鶴の生息地として知られているネパールのルンビニ地域(釈迦生誕の地)の湿地の保護活動を現地専門家と協力して実施する。
〈国際鶴財団(米国)〉
- 東南アジアNGO対象の海洋問題に対する政策提言・調査能力向上プログラム
危機的な状況にある東南アジア地域の海洋生態系に対応するため、同地域で活動する環境NGOの政策提言・調査能力の向上を図る。
〈世界資源研究所(米国)〉
- ミャンマー・国立公園内における野生生物の調査および公園管理スタッフの自然保護人材育成プログラム
これまで維持されてきた豊かな生態系が近年急速に破壊されているミャンマーの2つの国立公園において、政府と協力し、公園内の野生生物調査ならびに公園管理スタッフへの研修を実施する。
〈野生生物保護協会(米国)〉
- ネパール・湿地保護のためのパイロットプロジェクト
ネパール中央部のベーシュ・ハザールタル湖の保護活動を現地政府、現地コミュニティと協力しながら実施する。
〈IUCN−ネパール〉
- 中国・チベットにおけるオグロ鶴保護
世界的な絶滅危惧種であるオグロ鶴が生息する中国チベット中南部の一江両河地域において、オグロ鶴の生息地や生態を調査し、農業管理区を設置する。
〈中国農業生態環境保護協会〉
- フィリピン・セブ島における陸生生態系保護
多くの固有種が生息するフィリピン・セブ島のバリリ地区の陸生生態系を回復するため、農業技術の指導や現地コミュニティへの環境教育を実施する。
〈TAMGUYOG開発センター(フィリピン)〉
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