日本・インドネシア経済委員会(委員長 熊谷直彦氏)/6月5〜6日

第14回日本・インドネシア合同経済委員会を開催


6月5日、6日の両日、ジャカルタで第14回日本・インドネシア合同経済委員会を開催した。参加者同士の意見交換に加え、ハルタルト生産・流通担当調整大臣とアリウィボウォ商工業大臣から、「国民車計画」などインドネシアの経済政策について直接説明を聞いた。日本側からは「インドネシアの経済政策に対する要望−日本・インドネシア経済関係のさらなる発展に向けて−」と題する要望書を提示し、(1)産業政策の公平性・透明性の確保、(2)規制緩和の徹底、(3)税制および税務慣行の見直し、(4)金融行政の見直しと金融インフラの一層の整備を求めた。
また、会議開催に併せて、熊谷委員長ほかがトリ・ストリスノ副大統領を表敬訪問し、両国関係の一層の発展に向けて懇談した。

第14回日本・インドネシア合同経済委員会共同声明〔英文正文〕

1996年6月6日
於 ジャカルタ

  1. 第14回日本・インドネシア合同経済委員会は、1996年6月5日、6日の両日、ジャカルタにおいて開催された。日本側は熊谷団長をはじめ72名が、インドネシア側は、バラムリ団長以下約 100名が参加した。

  2. ハルタルト生産・流通担当調整大臣が6月5日に基調演説を行ない、合同会議の開会を宣言した。翌6月6日、アリウィボウォ商工業大臣が来席しスピーチするとともに、参加者と活発な質疑応答を行なった。
    また、両団長の挨拶に続き、アブリザル・バクリーKADIN(インドネシア商工会議所連合)会頭と渡辺泰造駐インドネシア大使が来賓挨拶を行なった。

  3. 2国間問題について意見交換するにあたって、インドネシア側はファデル・ムハマッド ブカカ・グループ社長が、日本側は外村直久三菱商事常務がそれぞれの経済概況を報告し合った。参加者は貿易、投資、産業協力、観光、サービス、人的資源開発、文化交流などの分野での経済関係強化についての考えや方法に関し意見交換した。

  4. スンヨト・タヌジャヤ グレート・リバー・ガーメント社長と長谷川康司トヨタ自動車取締役のプレゼンテーションに続いて、最近の両国の規制緩和の動向について意見交換を行なった。
    インドネシア側は、1994年11月に東京で開催された第13回合同委員会以来のインドネシア側の努力を報告した。すなわち、同国政府との協議や働きかけにより、昨年5月と本年1月、さらには6月4日(合同会議開催の前日)と、一連の規制緩和措置を政府から引き出すことに成功した旨の報告があった。これらの措置は日本側も評価しており、日本側からはインドネシアの経済成長に日本企業がこれまで以上に積極的かつ集中的に参入できるよう、税制、行政、金融およびインフラにわたる規制緩和の実行を期待した。
    また、日本側は、インドネシアが国民のために安価な車を生産するため、自国の自動車産業を育成しようとする考えに理解を示す一方、この政策がAPECやWTOの精神に合致して、公正で首尾一貫し、透明であるよう求めた。
    日本側は、経団連の強い働きかけにより政府の規制緩和計画が本格化したことを報告した。参加者は、経団連が今後とも日本の規制緩和の推進に向け、大きな役割を果たすことを求めた。

  5. 参加者は、中小企業の育成に重点を置くことで意見が一致した。双方は、両国の中小企業間の協力を強化するため、さらなる支援が必要であることを確認した。

  6. 最後のセッションでは、木村安夫住友商事副社長とブスタニル・アリフィン ブルディカリ・グループ会長のプレゼンテーションに続き、世界経済活性化のために、日本とインドネシアはいかに協力すべきかに焦点を当てて意見交換した。これは昨年のAPEC大阪会議の成果を参加者が評価していることを反映したものであった。双方は、両国の民間が1996年11月に予定されているAPECフィリピン会議に向けて、ABAC(APECビジネス諮問委員会)を通じて、APECへの参画を一層深めるよう協力していくことで合意した。

  7. 双方は、第15回日本・インドネシア合同経済委員会を、双方の都合のよい時期に、日本において開催することに合意した。

  8. なお、熊谷日本側代表団団長はジャカルタ滞在中の6月6日、バラムリ・インドネシア側代表団団長およびアブリザル・バクリーKADIN会頭とトリ・ストリスノ副大統領を表敬訪問した。


  1. ハルタルト調整大臣演説要旨
    1. インドネシアは外資を積極的に導入し、高成長を続けている(95年の成長率8%強、96年予想7%強)。また、民間の役割を重視し、規制緩和に力を入れている。昨日(6月4日)も、関税引き下げや長期引き下げ計画を含む規制緩和措置を発表した。

    2. 今後も高成長を維持するための課題は、(1)政治的安定性の確保、(2)慎重なマクロ管理、(3)インフラ整備とそれへの民間の参画、(4)人材開発、である。また、貧困層の生活レベルの向上、中小企業の育成、ジャワ島以外の島々の開発も重要である。

    3. ASEANはAFTAにより、APECの目標よりも早い2003年までに域内の自由化を達成し、やがてカンボジア、ラオス、ミャンマーを加え、4億人の市場になる。

  2. アリウィボウォ商工業大臣演説要旨
    1. インドネシアの目覚ましい経済発展は、健全なマクロ経済政策と外資への門戸開放を中心とする規制緩和に拠るものである。94年に外資への障壁をほとんど撤廃した結果、インドネシアへの直接投資が増加している(93年の80億ドルに対し、94年は240 億ドル、95年は400 億ドル。認可ベース)。

    2. 今後の課題は、経済のミクロ面に力を入れることである。その関連で、投資の認可案件が実際に実行されているかどうかを重視している。このほか、地方レベルでの規制緩和の推進、官僚主義の是正、教育・研修計画の充実を図る必要がある。

    3. 日本政府が自動車問題をWTOに提訴しないことを望む。この問題で両国の良好な関係が損なわれないようお願いしたい。


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