創造的人材育成協議会(会長 末松謙一氏)/6月12日

与党三党文教関係議員との懇談会
―教育改革は緊急の課題


経団連では、3月に、創造的な人材の育成に向けての提言を公表するなど、創造的な人材の育成のための環境整備に対する取り組みを行なっている。その一環として、与党三党の文教部会長を中心とする文教関係議員との懇談会を開催した。懇談会では、教育改革の必要性と緊急性について認識を同じくするとともに、今後とも、教育改革を巡る諸問題について意見交換を行なうこととした。

  1. 与党三党側発言概要
    1. 与党三党側からは、自民党の保利文教制度調査会長、片岡文教部会長、社民党の輿石文教部会長、新党さきがけの奥村文部部会長をはじめ、文教関係議員14名が出席し、教育制度・企業行動の問題点や改革の方向性について以下のような意見が述べられた。

    2. 教育制度については、「今日の教育制度は、制度疲労を起こしている。抜本的な改革を行なわなければ、日本の国益を失うことになる」、「偏差値教育、学歴社会といった弊害を取り除かないと、創造的な人材は育たない」などの意見が述べられた。

    3. 教育制度の改革の方策では、「学校週5日制の導入に対応して、カリキュラムの弾力化など、教科の構造を基本的に見直すべきである」、「学校教育法、教育基本法の改正も考慮しながら、今日の学制を複線化すべきである」、「子供の発達段階に応じた教育が望まれる。ある能力にずば抜けている人材を活かすため、中学の段階からでも、総合学科や単位制を検討すべきである」といった、制度自体の改革を求める意見が出された。また、企業行動についても、「企業は学習歴を重視し、学校歴で採用しないようにすべきである」、「学校歴での採用の是正には、中途採用が有効である。中途採用の才能ある人材を仕事で抜擢すれば、社内の活性化にもつながる」などの指摘がなされた。

  2. 経団連側発言概要
    1. 経団連側からは、末松創造的人材育成協議会会長、関本副会長、荒木東京電力社長らが出席し、経団連の提言内容を説明するとともに、以下のような意見を述べた。

    2. わが国が科学技術立国を目指すためには、理科教育が重要であるとの指摘とともに、「個人の能力、適正を見いだすことが重要であり、見いだせる時期に応じた教育がなされるべきである」、「世の中全体が先端科学技術に関心を持つべきである」といった意見が出された。

    3. また、「暗記力をベースとした勉強のできる人材を企業が採用することが、現在の教育を暗いものとしている」と、企業の採用方針が教育に与える影響を指摘した意見も出された。


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