1%(ワンパーセント)クラブ(会長 若原泰之氏)/6月12日

「会社からそとをみる・そとから会社をみる・自分をみる」


経団連1%(ワンパーセント)クラブでは、当クラブの活動内容を広く知ってもらい、若手の社員により一層社会への関心を高めてもらう目的で、上記タイトルによる講演ならびにトークインの集いを開催した。当日は、若原会長挨拶、後藤康男1%クラブ世話人(経団連自然保護基金運営協議会会長)による講演(テーマ:「強く、優しく」)ののち、企業の社会貢献担当者、海外駐在経験のある企業人、NGO関係者、ジャーナリストの方々によるトークインが行なわれた。以下に、後藤世話人の講演要旨を紹介する。

後藤康男1%クラブ世話人

  1. 徳川家に忠誠をつくす武士道が最高の道徳であった徳川時代、「国のためには血を流し、友のためには涙を流し、家のためには汗を流す」(一源三流)という考え方から国家の近代化に邁進した明治大正期、経済復興・高度成長などを通じて国に尽くし、企業に身を捧げる「企業社会」が出現した戦後を経て、現在は尽くす対象が広がり、価値観が混沌とした時代になっている。個人、企業、社会の価値観は必ずしも一致していない。これからは、価値観の違いを乗り越えてチャレンジしていくことが大切であろう。

  2. 21世紀は「環境の世紀」と考える。交通機関の発達などにより地球は狭くなり、また地球は思っていたよりも脆い存在であるという認識が生まれている。
    経団連は、右に仏敵を倒す慧刀(えとう)、左に生きとし生ける者を救う羂索(けんさく)をもった不動明王のごとく、経済発展と環境保全を両立させていく必要があろう。これからは、消費者・機関投資家・企業それぞれに「グリーン」の視点が必要になる。
    21世紀はNGO革命の時代でもある。個人、企業、社会の価値観が食い違った場合、例えば、企業を「脱藩」してNGOへ身を投じるといったいわば「平成の坂本龍馬」的な生き方も必要であろう。これからは、21世紀最大の課題である地球環境問題に着眼して行動していくことが大切である。

  3. 地球環境問題は人口・貧困・食糧などの問題と関連する経済問題であるが、「持続可能な経済開発」を支える理念は稲作文明と自然崇拝(森と水)に特徴づけられる東洋哲学であろう。それは、人間と自然との共生・循環の思想を大切にする考え方である。社会との係わりを考えると、個人は消費者、従業員、地域住民であり、また日本国民、国際人、さらには地球生態系の一員たる「地球人」の認識をもって行動することが必要になる。


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