経団連くりっぷ No.36 (1996年 7月11日)

なびげーたー

構造改革を通じた経済民主主義の実現へ

経済本部長 立花 宏


経済本部は、規制緩和を中心とする行政改革、財政改革と税制改革への取り組みを通じて、わが国の構造改革を促進し、経済民主主義の実現をめざしている。

  1. 経済本部は10の政策委員会を担当しているが、これらは、相互の関連を考えると、次の4つに大別できる。
    1. 行政改革…行政改革推進、流通の2委員会
    2. 経済政策…経済政策、統計、財政制度、金融制度の4委員会
    3. 税制改革…税制委員会
    4. 経済法制…経済法規、競争政策、資本市場の3委員会

    委員会の庶務を担当する事務局スタッフの編成も、この4つのテーマに応じたグループ制をとっている。

  2. そこで次に上記の4分野毎に今年度の重点課題をご紹介する。

    1. まず、規制緩和を中心とした行政改革では、今年度末に予定される「規制緩和推進計画」の改訂に向け、7月に全会員を対象とする規制緩和のアンケート調査を実施し、これをもとに10月には経団連としての規制緩和要望を取りまとめるほか、企業秘密の保護に配慮した行政情報公開制度の確立、官民の役割分担の見直しについて、政府の行革委員会との連携を図りつつ取り組む予定である。
      流通分野では、規制緩和のほか情報化への対応を検討することにしている。

    2. 経済政策では、今後の景気回復動向に注意を払いながら必要があれば補正予算をめぐる政策要望を整理するとともに、高コスト構造の是正をめぐる問題、産業構造問題について検討を進めるほか、統計制度では官庁統計の整理・合理化などに取り組むことにしている。
      財政改革では、本格的な高齢社会を目前に控えて財政構造改革が不可避となっている。このため改革の基本方向や文教・福祉・公共投資などの歳出、予算編成、社会保障制度(年金、医療、介護)のあり方にメスを入れることにしている。金融制度では日銀法の改正問題、郵貯問題のほか、規制緩和の推進も重要な課題である。

    3. 税制改革では、これまで毎年先送りされてきた法人の実質税負担の軽減、土地税制の抜本的な見直しが来年度税制改正において実現されるよう政府・与党への働きかけを強化する。税制の国際的な整合化の見地から連結納税制度も重要な課題である。

    4. 経済法制の分野でも、事業活動のグローバル化、事業の再編に応じた柔軟な企業組織の再編成・活性化、といったニーズに円滑に対応できるよう、純粋持株会社の解禁、合併・分割法制の整備、株主総会・株主代表訴訟制度の見直し、企業会計制度の合理化、資本市場の整備等の問題に取り組むこととしている。


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