経団連くりっぷ No.36 (1996年 7月11日)

新産業・新事業委員会企画部会(部会長 古見多香郎氏)/6月19日

新産業・新事業創出への方策などにつき、中小企業庁より聞く


新産業・新事業委員会企画部会では、依然として開業率の低下や空洞化等が指摘される状況下、標記会合を開催した。
児玉課長からは、「米国では、新規創業によって製造業の空洞化や失業不安を払拭した経験を持っており、わが国においても、新産業・新事業を創出していく必要がある」との説明があった。以下は、児玉課長の説明要旨である。

  1. 児玉課長説明要旨
    1. 全産業の開業率は、やや持ち直しているものの、長期的には低下傾向である。その一方、廃業率は4%台を記録するなど上昇傾向にあり、依然として開業率を上回っている。

      開廃業率の推移

    2. 1980年代に製造業空洞化や雇用不安が懸念された米国では、その後、中小企業、サービス業が 1,800万人強の雇用を生み出しそれらの懸念は払拭された。こうした米国の経験は、新規創業や新産業・新事業の創出の重要性を物語っている。

    3. わが国において、新規創業を推進するためには、
      1. ベンチャー・キャピタルなど資金調達環境、
      2. 人材確保・育成の環境、
      3. インキュベータ施設など研究開発支援基盤、
      などの整備が重要である。また、高コスト構造の是正に資する規制緩和など、構造改革を推進することも求められる。

    4. 米国シリコンバレーやイタリアのコモ地区においては、高度に専門化された企業間で、テーマやニーズに応じた連携を行ない、新技術や新製品を次々と生み出している。このような動きはわが国の企業のあり方にも教訓を与えるものである。

  2. 懇談概要
  3. 経団連側:
    規制緩和が各論の段階でなかなか進まないのは、中小企業が反対しているからではないか。
    児玉課長:
    平成8年1月に独自に行なった調査では、中小企業の65%が規制緩和に賛成であり、反対は10%に満たない少数派であった。ただし、その進め方については、従来保護されてきた産業への影響を考慮しながら計画的・段階的に進めてほしい、としている。規制緩和は不可避であり、中小企業にもそれに対応して効率化を図ることが必要、という認識が広まっている。


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