経団連くりっぷ No.36 (1996年 7月11日)

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創立20周年を迎える国際文化教育交流財団


国際文化教育交流財団と聞いて、すぐに経団連の第2代会長である故石坂泰三氏の業績を末永く顕彰するため、奨学事業等の文化・教育交流事業を行なっている財団とわかる人は少ない。実はこの財団は通称石坂財団と呼ばれ、発足してから今年で20年を迎え、すでに累計で 450名以上の内外の奨学生に奨学金を支給し、わが国と欧米諸国はもとよりアジアを含む途上国との相互理解と友好親善のために地道に活動を行なって来ている。一方で、当財団はわが国の経済情勢を反映して、低金利の影響を受け他の財団と同様に厳しい財政状況にある。

経団連では、種々の文化・教育交流事業を行なって来ているが、奨学事業を例にとれば、石坂財団を始め、国際感覚豊かな人材育成を目的に設立・運営され、6カ国1地域のカレッジへ毎年高校生を派遣するユナイテッド・ワールド・カレッジ日本協会、応用化学系・原子力学系の学生に育英資金を支給する石川奨学会、皇太子明仁殿下(現在の天皇陛下)のご成婚およびハワイご訪問を記念して創設され、日本・ハワイ間で大学院生の交換留学を実施している皇太子奨学金日本委員会の事務局として、それぞれの事業に協力している。

さて、国際文化教育交流財団(理事長 豊田経団連会長)は故石坂氏が生前関与された企業約20社と日本万国博覧会記念協会の支援を得て、1976年の設立以来、奨学事業と国際文化交流事業を実施してきている。当財団は、日本の大学院生を対象とした日本人海外派遣奨学生事業、来日留学生の大学院生を対象とした在日外国人奨学生事業、1990年より生命保険協会より基金寄贈を受けて開始した東アジア・東南アジア諸国からの留学生で大学3年生を対象とした生保スカラーシップの3種類の奨学事業により、次代を担う若者への支援を行なってきている。創立20年を迎えた当財団関係の奨学生の多くは、すでに国内外のそれぞれの分野で活躍している。また、国際文化交流事業では世界的文化人類学者のレヴィ・ストロース氏、英国の著名な日本研究者のロナルド・ドーア氏などを講師にむかえた講演会を開催するなどして、グローバルな視野からの相互理解の増進に寄与している。

21世紀を目前に控え、創造性やグローバル化の中で活躍できる人材育成の重要性が認識されているおり、当財団の意義と事業の重要性はますます増大しており、創立20周年を機に改めて当財団事業への御理解と御協力をお願いしたい。


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