経団連くりっぷ No.37 (1996年 7月25日)

なびげーたー

いきいきとした産業社会の実現を目指して

産業本部長 太田 元


産業本部は、国土利用、技術、情報、環境、エネルギーなど産業界に直接・間接関わりのあるテーマに取り組んでいる(以下の〔 〕内は担当委員会)。

  1. 国土利用関連で、当面の最大の課題は首都機能移転の推進である。単に大震災などのリスク回避や一極集中の是正を超えて、魅力ある21世紀の日本を実現していく上で政治・行政システムの歴史的改革の起爆剤としての期待は大きい〔首都機能移転推進委員会〕。これに関連して国土政策と大都市圏の土地・住宅政策についての検討〔国土・住宅政策委員会〕、交通基盤の整備〔輸送委員会〕、新「農業基本法」の制定作業に産業界の意見を反映させていく〔農政問題委員会〕といった課題もある。

  2. 産業技術、宇宙や海洋の開発等、科学技術は国の発展の基礎であるとともに、わが国が諸外国から頼りにされるという観点からも一層重要性を増しているが、科学技術創造立国に相応しい政策を求めていく〔産業技術委員会、宇宙開発推進会議、海洋開発推進委員会、防衛生産委員会〕。

  3. 高度情報通信ネットワーク社会が視野に入りつつあるが、情報通信産業の発展と社会の情報化を進める観点から、情報通信市場の競争条件の整備ならびに書類にかわる電子データの保存の容認など情報化時代に対応した法律、制度の再構築が重要である〔情報通信委員会〕。日本経済の再活性化の有力な手段としてベンチャー・ビジネス(VB)に期待がかけられているが、豊田会長は5月の総会で会員企業が自らVBを立ち上げるよう呼びかけている。企業への呼びかけに並行して、引き続きニュー・ビジネスの活発な展開にとっての阻害要因の除去、インセンティブの整備に取り組んでいる〔新産業・新事業委員会〕。

  4. 環境問題については、地球規模で持続可能な循環型経済社会システムの構築に向けて経済的・科学的・合理的な政策が立案・実施されるよう内外に働きかけていく。同時に、産業界自ら温暖化、廃棄物、環境管理・監査等の問題に対し自主的に取り組み成果を挙げる必要がある〔環境安全委員会〕。また、生物多様性を戦略的に保全する観点から自然保護活動への支援の充実化を図っていく〔自然保護基金運営協議会〕。資源・エネルギーの利用効率の向上は環境の観点から一段とその取り組みの必要性が高まっているが、その安定的かつ効率的供給の確保の重要性は変わらない。その中で原子力の安全かつ効率的利用の促進は中心的課題である〔資源・エネルギー対策委員会〕。

  5. 国際熱核融合実験炉(ITER)の日本誘致が正念場を迎えていることから、内外の理解と支持のとりつけに努めていく〔国際熱核融合日本誘致推進会議〕。

    会員各位の格段のご指導・ご協力をお願いしたい。


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