経団連くりっぷ No.37 (1996年 7月25日)

経団連意見/6月28日

第15期中央教育審議会「審議のまとめ」に対し、経団連の意見を提出


中央教育審議会(中教審)は、7月19日に第1次答申を行なう予定であるが、それに先立ち、1年余りの検討の結果としての「審議のまとめ」が6月18日に出された。経団連創造的人材育成協議会(会長 末松謙一氏)では、中教審の、同まとめに対する、関係各団体への書面での意見提出要請に対して、「審議のまとめ」で述べられている基本的認識・方向性を評価するとともに、今後は、受験戦争の是正や、家庭の教育力回復に向けて、実行に移すことの重要性を訴える旨の意見を提出した。以下は、その提出意見の概要である。

  1. 具体的な取り組みの道筋の明確化
  2. 今般の「審議のまとめ」の考え方は、基本的に、われわれの提言「創造的な人材の育成に向けて〜求められる教育改革と企業の行動」での認識と一致しており、評価したい。
    今後は、改革の実現に向けて、関係者の積極的な対応と具体的な取り組みの道筋を明確に示し、実行に移すことが肝要である。

  3. 受験戦争是正への取り組み
  4. 経団連では、学校歴不問、公募制の拡大などの採用方法を、各企業に呼びかけるなど、学校歴偏重・受験戦争是正に向けて経済界としての自己改革を進めている。教育関係者も、複眼的評価による大学入試、カリキュラムの効率的編成ということでの中高一貫教育の拡大、さらには6・3・3制の学制の見直しなど、ゆとり作りの環境整備に努められたい。

  5. 新たな枠組みでの中教審答申の具体化
  6. 時代に則した教科の再編・統合等の検討は喫緊の課題である。教科の再編・統合等を調査審議する常設の委員会の早急なる設置と運営方針の明示、教育課程審議会の審議への経済界を始めとする国民の声の反映を強く要望する。

  7. 家庭の教育力回復の重要性
  8. これからの家庭教育では、「審議のまとめ」と同様に経団連としても社会経験の豊かな父親が家庭教育に積極的に参加することが重要と考えている。

  9. 創造的な人材の育成のための方策
  10. 創造的な人材を育成するためには、21世紀を見据えた教育改革が重要であり、以下の事項を要望する。
    1. 個性・素質をいかした教育を行なうために、カリキュラム編成の一層の弾力化、教員資格の一層の弾力化など教育にかかわる各種の規制緩和の推進。
    2. 情報化時代に応じた教育方法の開発に向け、新時代のリテラシーである、外国語やコンピュータ関連教育の積極的な採り入れ。
    3. 世界をリードする独創的な人材を育成するために、飛び級の実施拡大など、優れた素質・才能を早期に発見し、伸長させるための教育の実現。
    4. 教職を魅力あるものとするために、教員の安定採用・資質の向上に努めるとともに、特に理工系では、自らが理科系に興味と関心を持ち面白さを教えられる人材の確保。


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