経団連くりっぷ No.37 (1996年 7月25日)

経済政策委員会(委員長 青井舒一氏)/7月11日

当面の経済運営のあり方をめぐり、田中経済企画庁長官と懇談


経済政策委員会では、田中長官はじめ経済企画庁の幹部を招き、当面の経済運営のあり方をめぐり、種々懇談した。この中で、田中長官は2〜3%の成長という基礎体力がついてきた今こそ、規制緩和、構造改革という本格的な手術を行ない、中長期的な安定成長につなげていくべきであるとの認識を示した。
以下は、田中長官の発言の概要である。

青井委員長

  1. 田中長官発言概要
    〜当面の経済運営について〜
    1. 7月の月例経済報告では、景気判断を6カ月ぶりに半歩前進させたが、民需主導の本格的な回復につなげていくことは容易ではなく、楽観視していない。
      しかし、景気の息切れに対し、補正予算を編成し公共投資で対処するという安易な道を歩むべきではない。政策需要によってある程度の成長を実現すると構造改革を行なう意欲が削がれてしまう。即効性のある構造改革を積極的に進めるべきである。

    2. 2年半前に、平岩研究会の場で日本経済には規制緩和、構造改革という手術が必要であり、手術に耐えるには、2〜3%の成長という基礎体力が必要であると指摘した。今やこの基礎体力もつき、本格的な手術を行ない、中長期的な安定成長につなげる時期が来たと認識している。

    3. 9日の閣僚懇では、2時間にわたり、規制緩和をめぐり懇談した。また12日の閣僚懇では、情報通信、金融等の6分野について、具体的な規制緩和項目を提示する考えである。行政ベースによる規制緩和の進展は十分でなく、政治のリーダーシップにより強力に進めていく必要がある。

    4. 財政改革は、消費税の増税と同様に国民に辛抱を強いるものであり、その前に行政改革を断行しなければ国民の理解は得られない。このように、21世紀に向け、経済も財政も重大な局面を迎えていると認識している。

  2. 中名生調査局長の発言概要
    〜日本経済の現況について〜
    1. 官需から民需へバトンがわたりつつあるが、景気回復のテンポは緩やかであり、また、雇用情勢は依然厳しいなど懸念すべき点もある。

    2. 1〜3月期の実質成長率は高度成長期以来の伸びであったが、昨年秋の景気対策の効果およびうるう年効果を除く民間の実力としては、前期比1%程度の成長ではないかと考えている。それでも年率換算では4%と比較的高い伸びといえよう。


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