経団連くりっぷ No.37 (1996年 7月25日)

輸送委員会企画部会(部会長 普勝清治氏)/7月2日

今後の道路整備における課題と方向性


円滑で効率的な輸送を実現するためには、交通基盤整備の推進と公共料金の低減が重要な課題である。輸送委員会企画部会では、建設省道路局の藤本道路経済調査室長を招き、「今後の道路整備における課題と方向性」について話を聞くとともに懇談した。

  1. 藤本室長説明要旨
    1. 道路交通の現状と課題
      1. 運転免許保有者数と自動車保有台数は今後さらに増加することが予想され、国内輸送における自動車輸送に対する需要も今後高まると思われる。また道路は、電気・ガス・上下水道などのライフラインの収容空間としての機能も果たしており、その役割は非常に重要である。

      2. わが国の道路交通は、交通渋滞、環境・騒音問題、防災、情報化、交通事故などの課題を抱えており、さまざまな対応が必要である。また、わが国の道路整備水準は渋滞等をみても欧米に比べて遅れており、今後一層推進する必要がある。

      3. 今般消費税率を5%に引き上げることが閣議決定されたが、消費税率引き上げに伴ってガソリン税や自動車取得税などを引き下げるべきとの意見もある。しかし、これらは道路整備のための重要な財源であり、削るべきではないと考えている。

    2. 新しい道路計画の策定に向けて
    3. さまざまな経済社会情勢の変化を背景として、道路計画策定のプロセスやその内容などのイノベーションが必要となっている。
      来年度上半期に予定される新たな道路整備五箇年計画(計画期間:1998年度〜2002年度)の策定に当たっては、初期段階から幅広く国民の意見を採り入れるPI(パブリック・インボルブメント)方式を導入することになり、道路審議会基本政策部会に設置されたプロジェクトチームが、コミュニケーション活動のためのレポートを作成した。これを各方面(有識者、各種団体、地方公共団体、大学、高校等)に配付して道路整備の課題を紹介するとともに広く意見を募り、新たな道路計画の策定のベースとする予定である。

  2. 経団連側からの意見
    1. PI方式は画期的かつ有効な手法であると思われるが、一方で手間と時間がかかり、効率的でないのではないか。

    2. 今後の道路整備にあたっては、一般財源の投入等財源の多様化と建設コストの削減が必要である。

    3. 一般道路の整備状況や計画に関する情報をもっとわかりやすく公開するための工夫が必要である。


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