経団連くりっぷ No.37 (1996年 7月25日)

アジア・大洋州地域委員会企画部会(部会長 飯島 健氏)/7月2日

APECフィリピン会議に向けて活動を開始したABAC


昨年のAPEC大阪会議を受け、「APECビジネス諮問委員会(ABAC)」が発足し、日本からは伊藤忠商事の室伏稔社長、オムロンの立石信雄会長、昭和プラスチックスの中川健三社長の3氏が委員に就任した。アジア・大洋州地域委員会企画部会では、5月14〜16日にマニラで開かれた第1回会合の模様について、同会合に参加したオムロンの深田理事を招き、説明を聞くとともに懇談した。

  1. 個人的な印象
  2. フィリピンが今回の会議にかける意気込みには並々ならぬものがあった。初日にはラモス大統領自らが、代表たちをマラカニヤン宮殿に招いて晩餐会を開くなど、国をあげての歓迎ぶりだった。このようなフィリピンの熱意が、会議を成功させた最大の要因であったと思う。各国の代表も、それぞれの国を代表する格式の高い方々ばかりであった。会議全体の印象としては、アメリカやカナダが比較的静かで、アセアン諸国の積極的な発言が目立った。

  3. 決定した事項
  4. 議長には、今年のAPECホスト国であるフィリピンのロムロ元外務大臣が、副議長(Co-chair)には前年のホスト国である日本の室伏氏と、翌年のホスト国であるカナダのリドル女史がそれぞれ任命された。事務局はフィリピンの強い要望を受け、本年1年間を同国が担当し、来年また見直すこととした。事務局の費用はフィリピンが、会議費用は開催国が、代表の旅費等は各自で負担する。代表の人数が増えたため、今年の会議には分科会方式を導入することになった。分科会は5つ設けられ、日本代表は室伏氏が「インフラ」、中川氏が「中小企業・人材育成」、立石氏が「国境円滑化」にそれぞれ参加することとなった。

  5. ABFについて
  6. フィリピンが強く提唱しているABF(APECビジネス・フォーラム)については、ABACとどう違うのか、各国25名ずつもの経済界代表を招くのは無理ではないか、といった率直な意見が多く出された。結論としてフィリピンに対し、コンセンサス作りに努力するとともに、ABACと相談しながら進めるよう要請がなされた。

  7. 今後のスケジュール
  8. 今後の予定については、第2回会合をハワイで8月17〜18日に、第3回会合を香港で9月28〜29日に開催し、10月の第3週にラモス大統領に最終的な報告書を提出することとなった。閣僚会議後の11月24日には、首脳とABAC委員の懇談が行なわれる予定である。報告書は、基本的には昨年のPBFの報告書をベースに分野を絞り、問題をさらに掘り下げていきたいと考えている。今後とも委員各位のご支援をお願いしたい。


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