経団連くりっぷ No.38 (1996年 8月 8日)

なびげーたー

「魅力ある日本」と世界の対話

国際本部長 島本明憲


国際本部は、WTOを中心とする多角的自由貿易投資の促進、国際協力プログラムを通じた世界経済の持続的な発展、各国との対話による相互理解の増進に努めている。

多角的な自由貿易投資体制の維持・強化は、豊かな国民生活を実現するための最重要課題のひとつである。その中心的役割を果たすのは世界貿易機関(WTO)であり、貿易投資委員会はウルグアイ・ラウンド合意の実施、サービス貿易に関連する継続交渉課題、WTOにおけるルール設定、新しい貿易課題等に取り組んでいる。他方、先進国をメンバーとするOECDは、グローバル化する世界経済の中で投資の役割が増大していることを背景に多国間投資協定(MAI)交渉を開始している。貿易投資委員会は、さる5月に中間的な意見をまとめたが、今後ともOECD諮問委員会の協力を得て、わが国政府をはじめ交渉各国に当会意見の実現を働きかけていく。

わが国の国際場裏での責務は自由貿易投資体制への貢献ばかりではない。日本は世界最大の経済援助国であり、リーディング・ドナー(世界の援助政策を先導する国)に相応しい経済協力ビジョンを持ち、外交政策の強力な柱として位置づけ、国民の理解を得なければならない。国際協力委員会は、こうした経済協力政策の実現に向けて世銀等の国際機関とも協力していく。さらに、世界各国との間で良好な関係を築くためには、経済面のみならず、文化面でも交流を深めることが重要である。このために国際交流基金の果たすべき役割は大きく、さらに活動を拡大すべきだが、民間としても東南アジア諸国の日本人商工会議所が推進するプロジェクトを支援するなどして、これを側面から支える活動を展開している。

こうした活動を展開するにあたっては、人と人の交流を通じた円滑な二国間、多国間の関係が基盤となる。このため、アメリカ委員会、ヨーロッパ地域委員会、アジア%大洋州地域委員会、中東・アフリカ地域委員会、中南米地域委員会、日本ロシア経済委員会等が中心となって各国経済人や政府関係者との交流を通じて各地域との良好な関係の維持・発展に努めている。その一環として二国間の経済合同委員会についても、発展途上国を中心に多数開催している。こうした活動が、わが国に対する理解の増進に役立っていることは疑いない。

さらに、各国との交流を通じて提起された日本への要望については、適宜政府に建議し、その実現に努めることとしている。また、日本に進出した外資系企業の要望についても、国際企業委員会を検討の場として、税制、各種規制の緩和%撤廃、外資系企業への支援措置等に関わる意見を取りまとめ実現に努めている。なお、国際文化交流への支援に入る問題であるが、内なる国際化を推進する見地から、留学生の受入拡大の実現に努力する。


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