経団連くりっぷ No.38 (1996年 8月 8日)

企業人政治フォーラム設立記念シンポジウム/7月25日

望ましい税制のあり方について自民党議員と討論


経団連では、7月25日、企業人政治フォーラムの設立総会に引き続いて、「税金と政治」をテーマにシンポジウムを開催した。これは、企業人と政治家とが、政策問題について直接意見を交換するという同フォーラムの設立趣旨に基づくものであり、自民党から、与謝野馨政務調査会長代理、柳沢伯夫行政改革推進本部事務局長、甘利明税制調査会幹事、逢沢一郎商工部会長、片山虎之助税制調査会幹事を迎え、経済評論家の田中直毅氏の司会で、法人税制を中心に土地税制、消費税など税制全般にわたる問題について、財政、社会保障負担、行政改革の問題等にも触れながら、2時間半にわたって活発な討議が行なわれた。当日は、企業関係者に加えマスコミ等約300名の出席者を得た。

シンポジウムでは、経済界側からまず、古賀経団連税制委員長代行が、「税金と社会保険料を併せた公的負担は、欧州諸国に匹敵するほどの水準に達し、さらに増加する傾向にある。高齢化社会に向けた社会保障制度の見直しとともに、税負担の抜本的軽減が不可欠である。経団連では企業の公的負担に関する調査を実施しており、今後その結果を世に問いたい」との発言があった。続いて、法人税制については、関新日鉄取締役が「日本経済の活性化のためには、企業の税負担の実質的な軽減とともに、連結納税制度の導入が不可欠」、土地税制については、八木日立製作所常務取締役が「すでに使命を終えた地価税は撤廃すべきであり、また固定資産税は行政サービスに応じて負担するものであり、毎年一定割合で負担が重くなる現状には納得できない。抜本的な見直しが必要」との指摘があった。また三菱自動車工業の横山常務取締役からは「景気回復を確実なものとするためにも所得税特別減税の継続が必要。また、消費税の引き上げに伴い、併課されている自動車取得税の調整が必要」との意見が出された。

自民党側からは、法人税制について、「経済に国境がなくなっている現在、日本だけが高い法人税率を維持すると企業の海外逃避は加速する。大きな方向としては法人税を国際的な水準に引き下げることが必要であり、基本的な自民党の考え方は経団連と一致している。しかしながら、ただちにそれが行なえるかどうかは深刻な財政状況をにらみながら考えていかなければならない」「課税ベースを拡大し得られる財源で税率を下げるという手法では、業種によって改正の影響が異なり、企業によって増税となるケースもあるので、この手法による法人税改正には極めて慎重にならざるをえない」「連結納税制度は企業立地に魅力的な環境を整備する上で重要であり、前向きに検討すべきである」等の発言がなされた。また土地税制についても、97年度改正において抜本的な見直しを行なうことが表明された。


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