経団連くりっぷ No.38 (1996年 8月 8日)
スウェーデンのフォン・シドウ貿易大臣との懇談会/7月17日
社会改革に着手するスウェーデン
スウェーデンのフォン・シドウ貿易大臣が来訪し、10月の経団連第2次訪欧ミッションにおいてスウェーデンを訪問する那須副会長、青井副会長と懇談した。以下は那須副会長からの日本経済の現状および経団連ビジョンに関する説明および青井副会長からの規制緩和と経団連の取り組みに関する説明を受けてのフォン・シドウ貿易大臣の発言概要と懇談概要である。
- フォン・シドウ貿易大臣発言概要
- 90年代のスウェーデンは、高齢化に伴う累積財政赤字の削減など日本と同様に社会変革を迫られている。このために政府が打ち出した福祉削減策や92年度から高水準が続いている失業率は、国民に将来への不安をもたらしている。
- 現在、スウェーデン政府は (1)学校教育や職業教育の拡充、(2)失業対策の促進、(3)約 5,000万人の潜在的消費者を抱えるバルト海周辺諸国への投資促進を進めている。バルト海周辺諸国への投資促進は、旧共産圏諸国の自由経済への移行を促進し、地域経済の発展につながる。
- 95年1月に国民の過半数の賛成を得てEUに加盟したが、未だEU加盟に対して懐疑的な国民も多い。政府は、国民の理解促進に努めると同時に、経済活性化の障害になる規制の撤廃に向けて引き続き努力していかなければならない。
- スウェーデンは、社会における女性の地位が確立された国である。女性の仕事、ライフスタイルに多大な影響をもたらす福祉制度改革を始め、スウェーデンが直面する社会・経済問題の解決には、女性の意見を十分に反映させていかなければならない。
- 今秋の経団連第2次訪欧ミッションで、那須副会長と青井副会長に再びお会いできるのを楽しみにしている。
- 懇談概要
- 〔那須副会長〕
- 戦後、日本は右肩上がりの経済成長を経験してきたが、そのような時代はもう終わった。今後は高齢化が急速に進み、低成長時代へと移行する。日本はまさに現在、スウェーデンが抱えている問題と同様の問題に直面していると言えよう。今後の日本を考える上で、スウェーデンの経験はたいへん参考になる。
- 〔青井副会長〕
- 日本がこれから経験する超高齢化社会にすでに突入しているスウェーデンの経験を日本の福祉政策に活かしていかなければならない。
今秋、スウェーデンを訪問する際、
- 高齢化と財政支出、
- 高齢化と国際産業競争力、
- エネルギー分野における原子力発電の利用
についてスウェーデン政府の方針を伺いたい。
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