経団連くりっぷ No.38 (1996年 8月 8日)

日本メキシコ経済委員会(委員長 川本信彦氏)/7月23日

ブランコ商工大臣との昼食懇談会ならびに
96年度日本メキシコ経済委員会総会を開催


日本メキシコ経済委員会では、訪日中のブランコ商工大臣を招き、昼食懇談会を開催し、メキシコ経済の現状ならびに展望について説明を聞いた。懇談会には、本委員会のメキシコ側パートナーであるメキシコ対外問題経営者協議会(CEMAI)のメキシコ日本経済委員会ゴンザレス・サダ新委員長のほかメキシコ経済界代表の一行が同席した。また、懇談会に引き続き、96年度総会を開催した。以下はその概要である。

  1. メキシコ経済の現状と構造改革の成果
  2. 94年末の通貨・金融危機以降、政府が推進してきた安定化政策の成果もあり、雇用、GDP成長率、インフレ、各種金融市場などの経済指標が、95年8月以降、月を追って回復している。特に今年の第2四半期には、われわれの予想を遙かに上回る5%の成長が見込まれている。
    わが国では、過去10年にわたり構造改革を推進してきており、通貨・金融危機以降も改革路線を継続している。昨年8月に早くも成長路線に回帰できたのは、改革の成果である。
    構造改革には、公営企業の民営化、市場の開放、規制緩和などが挙げられる。民営化については、新たに97年1月1日から通信分野が完全な競争状態になる。また、天然ガスの輸送・貯蔵・運搬については、国内外を問わず民間資本の参入が認められる。港湾部門の民営化はほぼ終わりつつある。さらに、空港関連施設の民営化の一環としてメキシコ・シティの新空港整備が民間部門により行なわれる予定である。また、チリに倣って年金システムの改革に取り組み、わが国が必要とする長期資金の運用・調達を可能にする。
    こうした一連の構造改革の第1の成果は、わが国への外国直接投資の増大である。94年に続き95年にも史上2番目の投資額を記録している。96年には、内資、外資ともに昨年を大きく上回る投資の実施が見込まれる。メキシコのトップ40企業の今年の投資予定額は、95年の40%増、メキシコ進出外資系企業100 社の予定額は95年より50%増と発表されている。
    構造改革の第2の成果は、輸出の増加である。95年の工業製品の輸出(非マキラドーラ)額は対前年比47%の伸びを示している。今年は、対前年比30%の伸びが予測される。96年5月の月間の輸出額は、80億ドル強と、82年の年間輸出総額を上回る数値となっている。96年の輸出額は、年間1,000 億ドルを上回ると予測される。

  3. 世界の中のメキシコ
  4. わが国は米国、カナダ、中南米諸国に加えて、EUとの間でも自由貿易協定の締結を目指して予備的な協議を進めている。アジア太平洋地域との関係も、APECへの加盟により強化している。


くりっぷ No.38 目次日本語のホームページ