経団連くりっぷ No.38 (1996年 8月 8日)

第4回経団連−全経連経済・経営懇談会(座長 楠川 徹氏)/7月2〜4日

中国に日韓共同調査団を派遣することで合意


経団連では、韓国の全国経済人聨合会(全経聨)との間で1983年以来、首脳会議を毎年開催しているほか、それをサポートするために両国の経営トップで構成する経団連−全経聨経済・経営懇談会(日本側座長:楠川徹富士総合研究所会長、韓国側座長:姜晋求三星電子会長)を設置し、双方の信頼醸成のための意見交換を重ねている。今回は、7月2日〜3日の2日にわたり、東京と御殿場で同懇談会の第4回会合を開催し、日韓産業協力の現状と今後の展望、中国への共同調査団の派遣等につき意見交換した。

  1. 韓国経済の現状〔韓国側説明〕
    1. 韓国のGDP成長率は昨年9%、本年第1四半期7.9%であった。これは輸出の伸びの鈍化(昨年30%→15%)、設備投資の伸び率の減少(昨年16%→4%)等による。

    2. 韓国でも規制緩和は推進されているが、次の選挙への配慮から、思い切った政策運営ができないため、不十分である。

    3. 対日輸出については、日本の政府規制が厳しく、結果としてビジネスが制限されているのは問題である。

  2. 両国経済界の協力分野
    1. 日韓両国は多くの問題があるが、経済分野では、協力の機運にある。最近では韓国は日本に対して、イコール・パートナーとして対韓投資の拡大を求めている。〔韓国〕

    2. 両国経済界は、アジア太平洋の発展に貢献する観点から、第3国における産業協力の方策を模索する必要がある。〔日本〕

    3. 今後10年間で、海外の建設市場は5,000億ドル規模に、また中国、アセアンのインフラ整備の市場規模は、1.5兆ドル程度に拡大する。民活インフラの増加が期待され、日韓企業の協力の可能性は高い。〔日韓双方〕

    4. サッカーのワールド・カップ共催については、成功に向けて経済人も協力すべきである。〔日韓双方〕

  3. 中国への日韓共同調査団の派遣(案)
    1. 日本側団長を楠川座長、韓国側団長を姜晋求座長とし、懇談会の委員を中心として共同調査団を派遣する。

    2. 黄海(渤海)沿岸地域を中心とする中韓経済関係の現状、インフラ整備の状況と問題点、中国の外資導入政策を含めた諸制度の運用と合弁事業の実情など「環黄海経済圏の現状と今後の展望」について調査する。

    3. 候補地は、北京で政府機関等と懇談するほか、大連・青島等を視察する。

    4. 受入れ先は、中国国際貿易促進委員会(国貿促)または対外貿易経済合作部が想定されるが、全経聨事務局との間で、中国へのコンタクト方法を含め実現に向けて詳細をつめていくこととなった。


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