経団連くりっぷ No.39 (1996年 9月12日)
リフキンド英国外務連邦大臣との懇談会(司会 関澤共同委員長)/9月2日
日英経済関係の健全な発展を歓迎
来日中のマルコム・リフキンド英国外務連邦大臣を迎え、日英経済関係、規制緩和、自由貿易体制、欧州統合などについて懇談した。大臣は近年の日英経済関係の健全な発展に満足の意を表明し、関澤ヨーロッパ地域共同委員長は英国の質の高い労働力、インフラ整備状況を評価した。また貿易関連の諸課題にも触れ、貿易と労働基準の問題を世界貿易機関(WTO)で取り上げるべきではないという点で意見の一致を見た。懇談の概要は以下のとおり。
- アクション・ジャパンの成功
リフキンド大臣は、ここ3、4年の日英経済関係の発展を評価し、アクション・ジャパン・キャンペーンの成功について経団連の協力に謝意を表明するとともに、今後とも英国が欧州への玄関口として日本からの投資を歓迎する旨、述べた。
関澤委員長は、英国の質の高い労働力、インフラ整備状況を評価し、景気、為替レートの影響に関わらず、マイクロ・エレクトロニクスを中心に、今後とも英国への投資は伸びるとの見解を示した。
- 規制緩和の見通し
リフキンド大臣が、日本の規制緩和、市場開放、特に金融サービス分野における外資系企業の参加機会の拡大に関して、経団連の見解を求めた。
関澤委員長は、橋本政権は歴代政権に比べても世界の時流を見て積極的に規制緩和を推進していると説明した。国際化の進む中、外国産業界のみならず国内産業にとっても過度の規制が問題になっている現状に鑑み、経団連としても、内外の意見を踏まえて引き続き規制緩和の推進に努めていく決意を表明した。
- 自由貿易体制をめぐって
経団連側から、従来よりウルグアイ・ラウンド交渉の進展を働きかけ、世界貿易機関(WTO)創設を支持してきた経緯を説明し、貿易と投資の関係を重視する観点から、経済協力開発機構(OECD)で交渉中の多国間投資協定(MAI)を支持すると述べた。また二国間の紛争解決に替わる多国間での解決の重要性を強調した。
貿易と労働基準の問題については、国際労働機関(ILO)などの場で扱うべきであり、WTOで取り上げるべきではないとの点で、両者の意見が一致した。
- 欧州統合は経済的現実に即して
リフキンド大臣は、英国が今後とも欧州連合(EU)に完全にコミットしていく立場を強調した上で、経済的現実を歪曲する政策には一貫して反対すると述べた。特に通貨統合については、
- 政治的動機が強い、
- 非現実的な主権委譲を必要とする、
- 加盟国間の経済状況の格差が大きく、雇用、成長への悪影響が懸念される
などの理由から、慎重な態度をとらざるを得ないと説明した。
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