経団連くりっぷ No.40 (1996年 9月26日)

日本ベネズエラ経済委員会(委員長 亀高素吉氏)/8月26日

ベネズエラ政府、民営化を推進


日本ベネズエラ経済委員会では、アルベルト・ポレト・ベネズエラ投資基金総裁兼国務大臣が来日した機会を捉え、ベネズエラで進行している民営化計画について説明を聞いた。

  1. ベネズエラ経済の現状
  2. ベネズエラは、原油、アルミニウム、鉄鋼等の資源に恵まれた国である。95年の輸出は、185億ドル、輸入は107億ドルであった。アンデス共同体、G3の一員として域内協力を推進し、またカリブ諸国連合やメルコスールとの関係を強化している。
    政府は、4月に新経済政策を発表し、2年間の交渉の末、IMFとの間で経済調整・安定化プログラム「アジェンダ・ベネズエラ」に合意した。これに基づき、ガソリン価格の大幅引き上げ、為替管理の自由化、金利の自由化、卸売税および奢侈税の引き上げ、社会政策の充実等を実施するとともに、公営企業の民営化に政府は取り組んでいる。

  3. 民営化プログラム
  4. ベネズエラ投資基金の役割は、民営化計画に従い、国内外の投資家に対し、民営化対象分野への投資機会を提供することである。本年から97年にかけて実施される民営化の対象部門は、アルミニウム・鉄鋼、電気通信、電力、観光、港湾、セメントである。電気通信については、91年に部分的に民営化されたベネズエラ電話公社(CANTV)の残りの49%の株式が11月半ばまでに売却される。その売却益は20億ドルになる。
    また、アルミニウム、鉄鋼等の鉱業開発に従事するガイアナ開発公社(CVG)が民営化の対象になる。IMFとの合意により、96年中にアルミニウム部門の民営化を終了しなければならない。ALCASA、VENALUM、BAXILUM、CARBONORCAの4社を一括して、唯一の投資家に売却する。鉄鋼部門については、オリノコ製鉄所(SIDOR)とFESILVENの民営化を97年初頭に行なう計画である。アルミニウムについては、4社が民営化される。
    電力会社については、ENELVEN-ENELCO、ENELBAR、NUEVA ESPARTA ELECTRIC SYSTEMの3社が対象で、発電、送電、売電部門が分割して民営化される。港湾設備については、LA GUAIRA港、DIANCA乾ドック・造船所が対象になる。観光分野では、BELLA VISTAホテル、5ツ星のHUMBOLDTホテル、AGUAS CALIENTESホテルが96年中に民営化される予定である。
    また、MONAYセメント会社も96年中に民営化される。
    民営化への参加機会は、内外の投資家に開かれたものである。日本企業からの投資を期待している。


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