経団連くりっぷ No.40 (1996年 9月26日)

創造的人材育成協議会(会長 末松謙一氏)/9月11日

奥田文部大臣との懇談会
−父親は家庭教育に一層の関与を


創造的人材育成協議会では、生涯学習社会の実現策などについて懇談したい旨、文部省からの要請を受け、奥田文部大臣ならびに文部省幹部との上記懇談会を開催した。懇談会では、文部省側より、中央教育審議会第1次答申ならびに生涯学習審議会の答申について説明を受けた後、今後の教育のあり方などを巡り、種々意見交換をした。以下はその概要である。
経団連側からは、豊田会長、末松創造的人材育成協議会会長、青井副会長等が出席した。

  1. 奥田文部大臣挨拶
  2. 文部省では、4月に「地域における生涯学習機会の充実方策について」、7月に「21世紀を展望した我が国の教育の在り方について」の答申をいただいた。
    生涯学習の分野においては、企業には設備や施設を地域の人に一層開放し、学習しやすい環境の整備にご協力をお願いしたい。
    人づくりということでは、徳育、特にしつけは、学校よりも家庭が受け持つウェイトが大きく、子育てにおける父親の責任は大きい。父親は母親とともに、子育てに励んでほしい。そのために、企業は、従業員を早く家庭に帰るように促したり、単身赴任を極力避けるという配慮をお願いしたい。
    登校拒否の生徒は年間約8万人、いじめは約5万7,000件起きているといわれている。いじめの克服には、地域社会において、他人の子供を叱れるような社会にする必要がある。

  3. 富岡総務審議官説明要旨
  4. 今回の中教審の答申では、自分で課題を見つけ、解決する能力や豊かな人間性などの「生きる力」を基調に据え、この力を育むための方策を訴えている。
    具体的には、
    1. 学校教育における教育内容の厳選、
    2. 家庭の教育力の回復、
    3. 地域社会の教育力の活性化、
    4. 21世紀初頭を目処に学校週5日制の完全実施
    などにより、「生きる力」を育むべきであると提言した。

  5. 草原生涯学習局長説明要旨
  6. 生涯学習審議会では、世の中の変化に対応した学習機関が十分に整備・提供されていない現状に鑑み、その充実方策について答申をまとめた。
    答申では、学習施設を提供する側を、高等教育機関、小中高等学校、社会教育・文化・スポーツ施設、研究・研修施設の4類型に分類し、方策を述べている。例えば、高等教育機関では、社会人の受け入れの促進のために、社会人特別選抜の推進や夜間大学院の拡充など、教育内容の多様化を訴えている。また、研究・研修施設ということでは、地域社会との連携を図るために、企業人に教員・指導者として、学校教育や社会教育へ協力すべきことを提言している。


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