1%クラブ(会長 若原泰之氏)/9月12日
「がんばろう!!神戸」の救援活動は、経験のない個人の活動から始まった。私たちはスペースと情報だけを提供し、「この指とまれ」方式で各人の得意分野をオーガナイズしながら活動を展開した。活動に際して指示は行なわなかったが、1つひとつの力がつながり、行政とは違う形で活動の輪が拡がっていった。
しばらくすると、高齢者、障害者、母子家庭が集中し、高齢率が60%を超えた仮設住宅に活動が移った。私たちは、あくまで当事者に問題を解決してもらうため、「自治会作り」に焦点を絞った。その活動の中で、仮設住宅の階段や手すりを見事に作り、電気関係の簡単な工事をボランティアでやってのける老人に出会った。私はその時、高齢者は社会的弱者であるという見方を捨て、単に助け・助けられる関係から、お互いに補いあう関係を築くことができることに気がついた。これから迎える高齢社会への対応の端緒が、今回の震災で見えてきた。
「がんばろう!!神戸」では年齢も性別も障害の有無も関係なく地域の人々が集まり、新しい関係をもとめてスペースを作り、互いに補いあった活動をしている。たとえば、老人のすばらしい技術に若い方のセンスと企業から提供してもらった素材などをプラスして、MIK(MADE IN KOBE)ブランドの品物をつくり、販売している。あえて被災した方々の商品であることは伏せ、商品力で勝負しているつもりである。
震災では、「何ができないか」ではなく、「何ができるかを探す」ことも学んだように思う。行政は基本的な床の部分を作ってくれるだけだ。これまで行政にハードだけではなく、ソフトまで求めてしまっていた市民の怠慢も見えてきた。今後とも、市民が自らを律し、自分たち自身のソフトを作っていけるような活動を続けていきたい。