経団連くりっぷ No.41 (1996年10月 9日)

なびげーたー

インドシナ地域の安定に貢献する、ベトナムとミャンマーの経済発展
−そのための経団連の貢献

国際本部副本部長 角田 博


経団連は1991年に他の団体に先がけてベトナムにミッションを派遣し、日本ベトナム経済委員会(委員長 西尾日商岩井現相談役)を設立して、 ベトナムとの経済交流拡大に努めてきた。9月30日には4回目の合同経済会議をハノイで開催し、ルオン副首相、ド・ムオイ共産党書記長と面会するとともに、北部と中部を視察した。

1991年当時、米国は対越制裁を続け、日本の交流拡大に神経をとがらせていた。経団連はベトナムの市場経済化に協力すべきとの考えで、何度か米国大使館に足を運び、理解を求めてきた。

昨年7月には米国との国交正常化が実現し、ASEANに加盟するなど、ベトナムを巡る国際環境は大きく改善している。ASEAN10が実現すればベトナムは5億人近い市場の生産基地になり、米国の対越最恵国待遇が実現すれば、対米輸出が極めて有利になる。

我々は合同経済会議を開催する度に投資環境の改善を求めてきた。その結果、95年には日本からの投資は台湾に続いて2位に躍進し、マクロ的にはベトナム経済は着実な経済発展を遂げている。

ところが今年1〜8月の日本の対越投資は半減しており、一頃のベトナム・ブームに陰りが出てきたのではないかと懸念されている。ベトナムの労働力や資源などには魅力はあるが、実際に投資を進めようとすると、根回しなどに意外と時間とコストがかかると言う不満がある。

また自動車関係の投資が12件も認められるなど、産業育成のビジョンと政策がないことに不安感が強くなっている。ベトナムにとってもASEAN加盟に伴う競争激化に耐えられないのではないか。

今回の会議では、今や企業が国を選ぶ時代であり、積極的な投資誘致策を取ること、長期的視点に立った産業育成策を立てて、国造りに努めることなどを要望してきた。

また、ミャンマーも難しい国である。欧米諸国は人権問題を取り上げ現政権を批判しているが、経団連は制裁ではなく、経済関係の強化を図りつつ内政の改革を求めるべきと考え、近く日本ミャンマー経済委員会(委員長 鳥海丸紅社長)を発足させ、協力の方途を探ることにしている。

インドシナ半島の両端に位置する両国の経済発展は地域全体の底上げと安定に大きく貢献する。


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