経団連くりっぷ No.41 (1996年10月 9日)

金融制度委員会(委員長 樋口廣太郎氏)/9月17日

外国為替管理制度の見直しについて榊原大蔵省国際金融局長と懇談


金融制度委員会では、会合を開催し、榊原大蔵省国際金融局長より、外国為替管理制度の見直しの方向および具体的内容について、説明を聞くとともに、意見交換を行なった。
榊原局長の説明の概要は、以下の通りである。

  1. 大蔵省では、外為法をめぐる経団連等からの規制緩和要望に対して、(1) マルチネッティング、証券外為、為替の持高規制など、法改正を待たずに対応できるものは、直ちに着手するとともに、(2) 法改正が必要なものは、外為審で迅速に審議した上で、可能であれば次期通常国会に改正法案を提出したいと考えている。

  2. 外為法改正の基本的な考えは、欧米に匹敵するような自由な制度を作ることである。現行外為法では、例えば資本取引のかなりの部分に許可制、事前届出制が残っているが、今回の改正で、事後報告制度にする。為銀制度も、抜本的に見直し、場合によっては廃止を考えている。

  3. 外為法を改正する上で、まず、有事規制をどうするかが問題となる。米国では有事規制のための独自の法律があるが、日本では新たな立法は難しいため、有事規制は新外為法の柱となろう。基本的には、必要な報告が行なわれていれば、有事に対応できると考えている。

  4. 為銀制度における確認義務は空洞化しており、今後維持する必要があるかどうかは、議論が必要である。また、商社、メーカーが通常業務の関連で外為業務を行なう限り、規制するつもりはないが、ディーリング業務など業として幅広く外為業務を行なう場合には、為銀と同じような規制を課さざるをえない。ただし、規制のレベルは全体として下がろう。

  5. これまでの許可、届出が事後報告になることにより、本来は報告事項が増えることになるが、これを整理合理化しなくてはならない。基本的な報告は、
    1. 統計の作成、
    2. マネーロンダリングへの対応、
    3. 市場のモニタリング
    などのために必要であるが、時代遅れになった不要な報告は、合理化、ペーパーレス化を検討しなくてはならない。

  6. 東京市場の空洞化は、金融・証券分野での規制、税制、会計制度とも関係がある。外為法改正だけでなく、大蔵省全体としての取り組みが重要と考えている。

  7. 外為法の改正に向けて、今後経団連とも緊密に連絡をとりながら進めていきたい。10年、20年経って良かったといえるような思いきった改正をしたい。


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