経団連くりっぷ No.41 (1996年10月 9日)

輸送委員会合同部会/9月25日

運輸分野における規制緩和の推進について検討


輸送委員会物流部会(部会長:常盤文克花王社長)と企画部会(部会長:普勝清治全日本空輸社長)は合同部会を開催し、行政改革委員会規制緩和小委員会参与の鈴木良男旭リサーチセンター社長より、運輸分野における「規制緩和に関する論点公開」のポイントと今後の課題について話を聞くとともに懇談した。また当日は、運輸分野における経団連の規制緩和要望について審議を行なった。
以下は同要望の基本的考え方である。

  1. 道路輸送分野
  2. わが国の貨物輸送分担率の50%を超えるシェアを保持するトラック輸送の事業効率化は、わが国全体の物流効率化に大きく貢献するものと考えられる。しかし、今後予想される高齢化・少子化といった社会構造の変化のなかで、トラック事業者が物流コストの低減という経済的要請に応えるためには、運転免許制度や車検制度の見直し、積載条件・通行条件の緩和など事業者のコスト低減に資する規制緩和を進める必要がある。また、環境対策や交通渋滞の緩和といった社会的要請にも応えうる規制緩和を推進するという視点も今後重要になってこよう。

  3. 鉄道輸送分野
  4. 鉄道事業においては、他のモードと同様に利用者のニーズにきめ細かく対応することが求められており、事業者は自らの創意工夫により機動的に対応していく必要がある。そのためには、運賃・料金に係る規制緩和を図るとともに、技術進歩に対応した技術基準の見直しや手続の簡素化が必要である。

  5. 海上輸送分野
  6. モーダルシフトの推進など内航海運の役割増大が期待されており、その制度改革を急ぐべきである。また、近年アジア近隣諸国の港湾において機能の充実がめざましい中で、わが国港湾の国際競争力を維持・向上させるためには、港湾機能の重点的な整備と並行して、EDI化等の推進や、水先、夜間入港、夜間荷役などの面で規制緩和を実施し、海上輸送・港湾利用の効率化を促すことが不可欠である。

  7. 航空輸送分野
  8. 国内航空需要が今後も堅調に伸長することが予想される中で、さらなる競争促進政策の展開を図り、増加する国内需要に対応した国内航空ネットワークの充実を促すことが重要である。航空事業者が利用者に対して、より低廉で質の高いサービスを提供していくためには、国内航空路線における価格規制の緩和とあわせ、参入規制の緩和が図られることが望ましい。


くりっぷ No.41 目次日本語のホームページ