経団連くりっぷ No.43 (1996年11月14日)

アルベール ・ベルギー国王との懇談会(座長 豊田会長)/10月22日

新たな欧亜関係における日本とベルギーの役割


国賓として来日中のアルベール ・ベルギー国王を迎えて、懇談会を開催した。両国間の伝統的な友好関係を新たな欧亜関係の構築に役立てたいとの豊田会長からの提案に対し、国王からは欧亜間における自由貿易の重要性、関係強化に企業が果たす役割、将来へ向けての学生交流の促進への期待などについて発言があった。また、欧州統合の見通し、日本の対ベルギー投資動向などをめぐり、出席者の間で有意義な意見交換が行なわれた。以下はその概要である。


アルベール国王

  1. 新たな欧亜関係の構築
  2. 豊田会長は、アジアの中の日本、欧州の中のベルギーの立場から、日本とベルギーの伝統的な友好関係を新たな欧亜関係の構築に役立てたい旨を述べ、経団連としても積極的にこれに取り組む姿勢を表明した。
    これに対し国王は、96年3月の第1回アジア欧州会合の結果を踏まえながら、欧亜間の関係を考える上で、特に
    1. 保護貿易主義を回避し、自由貿易を維持することが重要である、
    2. 企業の果たす役割を重視し、実業家のフォーラムを奨励すべきである、
    3. 将来に向けた関係強化のために、学生交流を促進していきたい
    旨、強調した。

  3. 欧州統合の展望
  4. 欧州統合に関する経団連側の質問に対し、通貨統合への動きは決定的であり、
    1. EU域内市場への共通の金融政策の導入により金融政策の歪曲性によるコストが削減される、
    2. 加盟国全体の参加を考え、各国の経済状況に応じた柔軟な対応が重要である、
    3. ドル、円に次ぐ第3の通貨の誕生は為替の安定化に役立つ、
    4. 通貨統合の成功によりEUの政治的可能性も高まる
    等と指摘があった。
    また政治統合に関しては、欧州の抱えるさまざまな課題の解決に一層の政治的協力が不可欠であると同時に、対外的にも共通の外交・安全保障・通商政策が必要であり、ベルギーは小国ながらこれに中心的な役割を果たしていきたいとの姿勢が示された。

  5. 今後の両国経済関係
  6. 国王からの質問に対し、経団連側から、外国資本の誘致に極めて積極的な政策を実施しているベルギーは、欧州全域の統括的拠点、EU関連の情報拠点として、今後とも日本企業にとって魅力的な投資先となるであろうとの見通しを伝えた。
    また日本の自動車メーカーによるベルギー製部品の購入につき、経団連側より、ビジネスのグローバル化に伴う部品購入のグローバル化、欧州生産拠点における現地調達の拡大等を背景に、両国業界の積極的な努力により確実に伸長していることを説明した。


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