医療保険財政の危機と1997年度の緊急対策の実施
今後、国民医療費の伸びが、国民所得の伸びを上回ることは確実で、中でも高齢者医療費は、後期高齢者の増大など本格的な高齢化に伴い、その急増が見込まれる。医療保険財政は悪化しており、今後ともその赤字幅は拡大の一途を辿る見込みである。健康保険料をこれ以上引き上げる余地のない状況では、国民全体が今以上にコスト意識を持つことで、医療費の無駄を省き、当面の医療費の増勢を抑制する必要がある。
そこで、抜本改革に向けた第1段階として、1997年度改正を行なうべきである。
- 被用者保険の自己負担率(本人)の引き上げ(本則2割)
- 自己負担額の上限(高額療養費制度の適用)の引き上げ
- 老人保健制度の自己負担の定率化(1割)と自己負担の上限の設定
- 薬剤費に関する自己負担率の引き上げ(3〜5割)