経団連くりっぷ No.45 (1996年12月12日)

日本カナダ経済委員会(委員長 江尻宏一郎氏)/11月27日

日本とカナダ−太平洋を挟んだパートナーとして


経団連では、9月27日に公式訪問で日本を訪れたカナダのクレティエン首相に「経団連訪カナダミッション(Keidanren Business Partnerships Mission To Canada)」の報告を行なうとともに、歓迎昼食会を開催した。以下は歓迎昼食会におけるクレティエン首相のスピーチ要旨である。

クレティエン首相

  1. カナダの財政改革と経済構造の変化
  2. 3年前の首相就任時は、カナダの財政赤字は対GDPの6%を超え、先進7カ国の中で最も深刻な状態にあったが、抜本的改革に着手した結果、3年間で国家財政を健全化することに成功した。97年の対GDP財政赤字は1%以下、政府の新規借入れ需要はゼロになる見込みである。インフレ率も低く、金利は40年間で最も低い水準にある。OECDの予測では、97年のカナダ経済成長率は先進7カ国の中で最も高い。

  3. 深化する日加経済関係
  4. 日本はカナダにとって第3の投資国である。NAFTAの発効で消費人口3億6千万人の巨大市場へのアクセスが可能になったことにより、日本からの投資は大企業だけでなく中小企業も増加している。
    貿易については、日本はカナダにとって米国に次ぐ第2の輸出国である。昨年の対日輸出は前年比24%増の120億カナダドルになった。輸出の内訳を見ると、高付加価値商品が増加している。例えば、建築産業においては、単なる木材から住宅の輸出に広がっている。ソフトウェアの対日輸出は1億カナダドルを超えた。東京都の交通管制システムを動かすソフトウェアなど日本の顧客向けに開発されたプログラムもある。
    われわれは、自らの力を十分活用し、日加経済関係を深化させていきたいと考えている。この度、カナダの産業界が連邦政府・州政府の支援を得て取りまとめた「カナダ対日アクションプラン」改訂版は、両国経済の多様化を図るためのものである。同プランには、カナダの能力と技術を点検し、日本人の好みに合った製品を作ることにより、日本で新たなビジネス機会を作り出していくための情報が掲載されている。

  5. 経団連ミッションの成果
  6. 経団連訪カナダミッションにはたいへん感謝している。参加者が肌で感じたカナダ経済のダイナミックな変化をぜひ、日本の産業界に広く伝えていただきたい。カナダは97年を「アジア太平洋の年」と位置づけている。来年5月にトロントで開催される「第20回日加経済人会議」は、太平洋を挟んだパートナーとして、日加両国が協力関係を強化していく良い機会である。政府としても協力したい。


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