経団連くりっぷ No.45 (1996年12月12日)

情報通信委員会(委員長 藤井義弘氏)/11月28日

放送の展望と今後の放送行政の在り方につき、楠田郵政省放送行政局長より聞く


情報通信委員会では、郵政省放送行政局の楠田修司局長を招き、わが国における放送の展望と今後の放送行政のあり方等につき、説明を聞くとともに種々懇談した。楠田局長は、「急速なデジタル技術の革新により、放送をめぐって革命とも言える動きが起きつつあり、今後、デジタル化や多チャンネル化等に対応した放送行政を展開していく必要がある」と強調した。
以下は、楠田局長の説明の概要である。

  1. 多チャンネル時代の到来
  2. すでに、この10月より、CSデジタル多チャンネル放送の本格放送が始まっており、今後も、3社が参入を計画している。これにより、衛星放送ビジネスが本格的な競争時代に入る。また、都市型CATVについても年々加入者が増加しており、今後、CATV電話やインターネット接続等の双方向サービスが追加されることにより、順調に発展していくものと期待されている。

  3. 放送の国際化
    1. 海外の衛星デジタル放送市場は、米ヒューズ社と豪ニューズ社の覇権争いになっており、日本市場もその影響を受けよう。
    2. 放送は、国の文化に与える影響が大きいため、世界的にも、外資規制は存在している。日本では、外資系企業が直接的にわが国放送事業者の議決権の5分の1以上を保有することは認められていない。また、間接的な資本参加に対する法律上の制限が存在しないことが、日本の特徴である。

  4. 新しい放送政策の展開
    1. これまでの放送行政は、アナログ技術を前提として、限られた周波数を、限られた放送事業者に割り当てることを主としてきた。しかし、デジタル技術の急速な発展により、多チャンネル化やコンピュータ、通信との融合が可能となり、これらを視野に入れた放送行政が求められている。
    2. 郵政省は、2010年には放送は全体的にデジタル化が進んでおり、CATV、衛星放送、地上放送の普及率はそれぞれ6割、8割、10割と予測している。また、チャンネル数は数百を越えており、超多チャンネル時代が到来するとみている。
    3. 当面の課題は、BSへのデジタル放送の導入をどのように行なうかである。BS-4後継機の在り方に関しては、当初、本年5月までに結論を出すことになっていたが、近年の急激な技術革新を踏まえてさらに1年検討を行なった後、結論を出すことになった。
      すでにBSアナログ受像機が1000万以上の世帯に普及している現状をどう捉えるか、また、アナログからデジタルへの移行をどのように進めるか等、検討すべき課題は多い。


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