経団連くりっぷ No.45 (1996年12月12日)

掲示板

天、地、人に学ぶ公立の中高一貫教育校


宮崎県の県北、神話と伝説のふるさと高千穂町に隣接し、日本最南端のスキー場がある五カ瀬町に、全国初の県立中学校と高等学校をあわせた6年間一貫教育を行なう、全寮制のフォレストピア学びの森−五カ瀬中・高等学校がある。

同校は五カ瀬町周辺地域の振興発展をはかる「フォレストピア宮崎構想」の一環として、県内有識者よりなる「フォレストピア学びの森学校建設協議会」の2年間にわたる検討を経て、21世紀の国際社会で主体的に活躍できる人材の育成を目指して1994年に開校した。

宮崎より車で3時間余をかけ、山間の道を行くと、照明設備を備えたグラウンドと瀟洒な木造作りの、青屋根の校舎が飛び込んでくる(写真は同校の管理棟と教室棟)。

同校では、6年間の一貫教育の特性をいかして、中高両方の免許を持つ44名の教員を中心に、1学年40名、総数 242名の学生一人ひとりの個性に応じた計画的、継続的な教育が行なわれている。また、地域社会とのつながりを重視し、地域を教材化するということで、化石や天文、森林に詳しい地域の人を講師に招くとともに、草鞋作りや化石採集、星座観察などの体験学習により、感性の錬磨と自然に学ぶ主体的な学習が行なわれている。体験学習で、森や川など目的地への移動には、学校に備えられたマウンテンバイクを使う。さらに、全寮制という異学年集団のなかで相互学習と社会性、指導力等を学ぶ他、規則正しい寮生活の中に英会話と読書教育が組み込まれている。

岩切校長は、生活指導は大変であるが、親の子離れの方に問題があり、今後の課題であると言われた。経団連の「創造的な人材の育成に向けて」の提言を先取りした同校の今後の発展に期待したい。


くりっぷ No.45 目次日本語のホームページ