経団連くりっぷ No.47 (1997年 1月 9日)

なびげーたー

新しい企業行動憲章の推進について

社会本部副本部長 田中 清


経団連では、さる12月17日の理事会において新しい企業行動憲章を採択した(経団連くりっぷNo.46参照)。当日、豊田会長、那須副会長は各社における憲章の周知徹底、自社の行動規範の策定・見直しを強く訴えた。

憲章の見直しのポイントは、憲章を実効あるものにすることであり、この観点からみて、新しい憲章には5つの特徴がある。

第1は、序文に書かれているように、憲章を経団連会員の「申合せ」事項とし、それを「内外に宣言する」ことによって、拘束力を高めたことである。

第2に、憲章が広く会員企業の中に浸透していくことをねらって、本文をシンプルなものにした。従来の憲章は「企業の社会的役割を果たす7原則」、「公正なルールを守る5原則」、「経営トップの責務3原則」の合計15原則から成っていたが、今回は、各ステークホルダーズとの関係や経営トップの役割を10カ条にまとめた。
内容についてはまず、「べからず集」でなく、21世紀を展望した前向きな内容にするよう努めた。次に、文言を環境変化に対応して変更した。例えば、国際化の進展に対応して、すべての項目を「国の内外を問わず」適用するとした。また、製造物責任法の制定に対応して「安全性への十分な配慮」をうたった。そして、最近の不祥事との関連を踏まえ、「政治、行政との健全かつ正常な関係を保つ」との文言を入れた。

第3に、憲章を簡単なものとした代わり、各行動原則の内容を「実行の手引き」で詳しく解説した。ここでは、各行動原則が求められる背景、企業の基本的心構え・姿勢、具体的なアクションプランの例を述べている。各企業には、これを参考に、社の具体的な行動基準等を工夫し、実行していただきたいと考えている。

第4に、企業行動憲章に反するような事態が発生した場合にどう対応するか、は本文の10にあるように、経営トップが、「自らを含めて厳正な処分を行なう」こととされ、その際、経団連との関係についても、自己判断で経団連に報告していただく(手引きの55頁)。問題が、経団連の会員資格や役員、委員長等の役職に関わると判断した場合には、これも自己判断で経団連に申し出ていただく。その際の経団連の対応については、会長が必要に応じて「定款12条委員会」を設け、委員長を指名することにした。委員会の任務は、経団連としての対応策を会長に具申することであり、この目的のため、会員からの申し出に基づき、あるいは委員長の判断で会員から事情をきく。会長は、委員会の報告に基づき、定款12条に基づく除名、あるいは、会員資格の一定期間停止、役員、役職の退任などの対応策を決めることになる。

憲章を実効あるものにするために、第5のポイントとして、憲章のフォローアップのため、定期的なアンケート調査、研修会開催等の活動を継続的に行なっていくこととしている。


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