経団連くりっぷ No.48 (1997年 1月23日)

東亜経済人会議日本委員会(委員長 服部禮次郎氏)/12月19〜20日

第24回東亜経済人会議を開催


東亜経済人会議日本委員会(委員長 服部禮次郎氏)では、わが国と台湾との経済交流促進のために、毎年、台湾経済界との間で東亜経済人会議を開催している。96年は12月19日と20日の両日、東京で第24回東亜経済人会議を開催した。
以下は、今次会議のステートメントである。


服部日本側団長


辜振甫台湾側団長

第24回東亜経済人会議ステートメント

1996年12月20日
於   東 京

  1. 第24回東亜経済人会議は、1996年12月19日、20日の両日、東京において、日本から服部禮次郎日本委員会委員長ほか145名、台湾側から辜振甫中華民国委員会会長ほか82名が参加して開催された。

  2. 今次会議では、「両岸情勢・香港返還が経済貿易へ及ぼす影響」と「APECにおける日台の協力関係」をテーマに全体会議を行ない、建設的な意見交換を行なった。また、「貿易・流通・海運」、「投資・技術移転」、「金融・証券」、「観光・航空」の各分科会で、活発な討議が行なわれた。

  3. 両岸情勢については、台湾側から、本年3月の総統直接選挙の順調な実施が民主政治制度の樹立に寄与したこと、またそれをめぐっての両岸関係の緊張とその後の影響について説明があった。現在、両岸関係は依然として低迷しているが、両岸民間トップ会談の再開など、問題解決に向けて努力すると表明した。日本側は両岸関係の停滞に憂慮を示すとともに、事態の改善を期待する旨を表明した。また、双方は、来年7月1日に香港が中国へ返還された後も、香港が自由経済制度と従来の機能を維持し、引き続き世界経済の発展に寄与することを希望することで意見が一致した。

  4. APECについては、双方は本年11月に行なわれたフィリピン会議において、各メンバーが個別行動計画を提出し、貿易と投資の円滑化・自由化が実行の段階に入ったことを評価した。また、この地域の発展を維持するためには、日台が協力関係を一層強化し、資本・技術供与国としての役割を担うことで意見が一致した。これに関し、日本側からは、中国やベトナムなどこの地域における日台の協力による具体的なプロジェクトの紹介があった。

  5. 双方は、APECフィリピン会議において、台湾と中国のWTO加盟を支持する態度が表明されたことを評価した。これに関連して台湾側は、WTO加盟に向けた手続きの面で、日本との2国間協議が遅れていることについて日本側の協力を求めた。これに対して日本側は、台湾はすでに世界有数の経済力を有しており、その経済力に見合った責任を果たすことにより、WTOへの早期加盟を実現すべきだとの意見が出された。

  6. 日台双方は、分科会での討議を通じて、各産業分野ごとの日台協力をさらに推進することで合意した。

    1. 貿易・流通・海運については、本年前半において、ハイテク製品を中心とする台湾の対日輸出の好調などにより、対日赤字が減少したことが紹介された。日本側は、さらなる貿易インバランスの解消に向け、今後とも日本市場での積極的な台湾製品販売促進活動に協力する旨を表明し、併せて日本の流通システムの合理化改善について説明した。台湾側からは、対日赤字の減少傾向を歓迎するものの、台湾の国内景気の減退もその一因であると指摘し、貿易インバランスの解消には拡大均衡を目指すべきだとの意見が出された。

    2. 投資・技術移転に関しては、本年前半において、日本の対台湾投資が前年に比べ大幅に増加したとの説明があった。日本側は、双方の努力によって、情報関連産業を中心とした投資が増加し、その結果、台湾の対日貿易赤字にも改善傾向が出てきたことを指摘した。また、今後とも対台湾投資を重視する旨を明らかにするとともに、台湾に対しても、むつ小川原工業基地の利用など日本への投資を求めた。これに対し台湾側は、引き続き台湾への投資の促進と、高度技術の移転を日本に求め、併せて日本の沖縄県への投資計画を紹介し、日本側の協力を求めた。

    3. 金融・証券については、双方は規制緩和を中心に討議を行なった。日本側は金融業界における規制緩和の方向性を紹介した。台湾側は、アジア・太平洋地域における金融センターを目指し、今後とも金融の自由化に積極的に取り組むことを表明するとともに、第3国に対する共同投融資等について日本側の協力を求めた。

    4. 観光・航空については、日本人観光客の台湾訪問が本年も引き続き増加していることが紹介された。日本側は、この傾向をさらに持続させるために、台湾側に一層の観光資源開発やインフラの整備を要請した。これに対し、台湾側は観光資源の開発の現状を紹介するとともに、日台航空協定の改訂および関西空港への乗り入れなどについて日本の協力を要請した。日本側は関係機関に伝える旨説明した。

  7. 双方は次回の東亜経済人会議を、双方が適当と認める時期に(1997年12月を目途に)台湾にて開催することに同意した。また、第9回幹部会議を次回の東亜経済人会議以前の適当な時期に、日本で開催することが合意された。


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