経団連くりっぷ No.48 (1997年 1月23日)

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カンボジア・シアヌークビルに工業団地建設構想を検討中


 経団連では、96年7月12日〜23日に派遣された「訪メコン河流域開発協力ミッション(団長:春名和雄評議員会副議長)」のフォローアップとして、現在、カンボジアで工業団地建設の可能性について検討を進めている。本構想は、ミッションがカンボジアを訪問した際、同国の復興と開発を支援するため輸出加工企業の誘致を目的にカンボジア政府に対して提案されたものである。

 帰国後、外務省、通産省との話し合いにより、わが国官民が協力し、政府開発援助の開発調査案件として本構想を推進していく方向が確認された。これを受けて、工業団地候補地であるシアヌークビルにおいて、去る11月に民間による現地事前調査が実施された。同事前調査は、訪メコン河流域開発協力ミッション参加企業から13社の協力を得て、日本工営により11月3日より10日の日程で行なわれた。

 シアヌークビルは、首都プノンペンより約240キロ南西に位置し、米国援助庁の資金協力で改修された国道4号線で約2時間半から3時間の距離に位置する人口約5万人の小都市である。シアヌークビルには、カンボジア唯一の外洋港(港湾取り扱い能力約100万トン)があり、将来の同国の経済発展に備え、2010年の貨物取り扱い能力を現在の2倍以上と想定したマスタープランを国際協力事業団(JICA)で作成中である。

 工業団地建設候補地は、シアヌークビル市街より北東約10キロに位置する面積約1,100haの土地である。この内、第1期として、200haを開発していく計画であるが、国道よりサイトまでのアクセス道路、電源と送電線、水源の確保および水供給施設などの周辺インフラの整備の必要性が指摘されている。

 今後は、経済界としての推進体制を整え、わが国政府と協力して本件をJICA開発調査案件として推進していくとともに、カンボジア政府に対して、本件を推進していくための体制整備を行なうよう働きかけていく。

 将来的には、プノンペン〜シアヌークビルがカンボジア経済発展の主軸として開発されることが予想される。さらに、この主軸が単にカンボジアの物流のみならず、海を持たないラオスの対外国物流ルートの一つとして機能することも十分考えられる。シアヌークビル工業団地建設構想がインドシナ地域の将来の発展に寄与することを期待している。


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