経団連くりっぷ No.49 (1997年 2月13日)
行政改革推進委員会(委員長 今井 敬氏)/1月28日
挙国一致体制で構造改革の推進を
経団連では、1月16日に引き続き、自由民主党行政改革推進本部との懇談会を開催し、行革推進に向けた基本的姿勢や、同本部に設けられている各委員会の検討課題等について説明を聞くとともに意見交換を行なった。当日は、同本部から佐藤孝行本部長、竹下登、宮澤喜一の両最高顧問、石橋一弥、木部佳昭、高鳥修、谷川和穗、西田司、葉梨信行、原田昇左右、松永光、宮下創平、森山眞弓、岩崎純三、倉田寛之、佐々木満の各副本部長、堀内光雄、谷洋一、中川秀直、高木正明、大原一三の各委員長、柳澤伯夫事務局長の出席を得た。
- 豊田会長挨拶
- 構造改革は時代の要請である。「時間との戦い」との意識で取り組む必要がある。
- 6大改革の実現はいわば「平時の革命」であり、政府・与党が一枚岩となるのみならず、与野党挙げて挙国一致の体制で臨むことを期待する。
- 来賓ご挨拶
左から佐藤本部長、竹下、宮澤両最高顧問
佐藤孝行 本部長
- 国民の目に見える改革ということで、特殊法人改革に取り組んでいる。3月中には幾つかの考え方を示したい。
- 6大改革はいずれも重要であるが、現時点で着手すべき事項は何かを検討したい。
- 経団連の規制緩和要望については、項目を20〜30事項に絞れば、党としても取り上げていきたい。
竹下 登 最高顧問
- 公務員制度や財政改革について勉強している。今後も一生懸命お手伝いしたい。
宮澤喜一 最高顧問
- 党の真剣な取り組みが国民に分かるよう、年内に、具体的な改革の成果を示す必要がある。
- その第1は中央省庁の再編である。21世紀に政府が行なうべき最小限の仕事とは何か、ゼロから組み立てていくべきである。
- 第2は財政改革である。財政削減目標だけでなく、分野毎の歳出削減目標を提示しなければならない。
- 各委員会の活動について
堀内光雄 規制緩和委員長
- 3月の『規制緩和推進計画』の改定に向け、
- 行革委員会の意見、
- 政府に寄せられた内外の要望、
- 党の公約、
をベースとして、2月中旬にかけて規制緩和策を詰めていく。また、昨年の行革委員会の意見で実現が遅れている項目の推進も働きかけていく。
谷 洋一 地方分権・地方行革委員長
- 都道府県や市町村合併を睨みつつ、地方分権・地方行革を進めていく。
中川秀直 財政改革委員長
- 官民活動分担小委員会の意見を念頭において作業を進める。今後、歳出項目毎のキャップを定めるにあたり、財政再建チームを設けて検討していく。
また、公共投資の見直し、補助金の削減、財投・政府系金融機関・特別会計等の問題にも取り組む。
高木正明 公共料金等検討委員長
- 許認可の有効期間延長、手続書類の削減等、国民負担を3年で半減させるとの選挙公約をふまえて、負担軽減策案を取りまとめ、閣議決定を求めていく。
大原一三 行政組織・公務員制度委員長
- 行革会議との連携を密にし、同会議の課題に対応しつつ結論を得ていきたい。当面は、特殊法人の縮小・廃止に取り組む。特殊法人については、重点的に切り込んでいく必要がある。
- 経団連側意見
飯田 行革推進委員会委員長代行
- 経団連をはじめ内外から寄せられた規制緩和要望は、最大限実現願いたい。
- 規制緩和推進計画は、基本的に政府の規制を対象としているが、地方自治体の規制緩和への取り組みも必要である。
- 痛みを負う分野については、無用な摩擦・混乱を避けるため、必要な振興策・助成策を打ち出す必要がある。
奈良 金融制度委員会企画部会長
- 金融システム改革は、株式委託手数料の完全自由化や有取税の撤廃等、できるところから順次着手すべきである。
- 日銀法改正については、真の意味での中央銀行の独立性の確保が望まれる。併せて、すべての金融機関を一元的に管理する検査・監督体制の整備が重要である。
- 郵貯・簡保をはじめ公的金融システムの見直しも必要である。
福原 財政制度委員会共同委員長
- 財政構造改革では、公的部門全体のあり方をゼロベースで見直す必要がある。財政構造改革法(仮称)とそれに基づくアクションプログラムの策定を要望する。
- 特に、社会保障制度改革は先送りできない。長期に持続可能な制度を再構築するため、介護の問題を視野に入れた老人保険制度の抜本的改革が不可欠である。
末松 副会長
- 教育改革が6大改革の一つとなり、意を強くしている。教育改革プログラムに沿って共に取り組んでいきたい。
前田 国土住宅対策委員会委員長代行
- 近年「設計・施工分離の原則」では対応しきれない公共工事が増えている。一方式として「設計・施工一括発注方式」の規制緩和も検討願いたい。
齋藤 評議員会議長
- できるものから順次着手する必要がある。特に、国民の目に見える改革に取り組むことが大切である。
- 6大改革のうち、まず第一に取り組むべきは、誰が見ても行革である。
- 経済界も、各論反対は厳に慎み、ある程度の痛みは覚悟し、内閣・党の取り組みに協力していく。
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