経団連くりっぷ No.49 (1997年 2月13日)

情報通信委員会(委員長 藤井義弘氏)/1月20日

情報通信政策の課題と今後の対応等につき、團郵政省電気通信事業部長より聞く


情報通信委員会では、昨年12月のNTT再編成方針の決定、相互接続の基本的ルールに関する電気通信審議会答申の取りまとめ、規制緩和要望に関する検討状況の公表を受け、郵政省の團宏明電気通信局電気通信事業部長より、今後の情報通信政策の進め方につき、説明を聞いた。團部長は「NTT再編成と相互接続ルールの2つが揃っていることが、通信市場の公正競争の進展を保証する」と述べた。以下は、その概要である。

  1. 團電気通信事業部長発言要旨
    1. 規制緩和
      1. 過剰設備防止条項の削除については、公益事業特権確保に関する関係省庁との調整が進んだため、今国会に電気通信事業法改正案を提出する予定である。
      2. 料金については、公正有効な競争環境が整い次第、認可制を見直す。現在、プライスキャップ制等インセンティブ規制の導入も検討している。
      3. 9年中に国際専用線の利用を完全自由化する。
      4. WTO基本電気通信交渉の結果等を踏まえて外資規制を撤廃する。
      5. KDD法を改正し、国内通信業務の提供を認める。

    2. NTT再編成
    3. NTT再編成は、電気通信市場における競争のダイナミズムの創出を目的としており、今後、地域・長距離通信市場における公正競争条件の担保に留意していく。NTTは特殊法人であり、純粋持株会社は特別法により設立することになるが、独禁法9条改正とならんで実現するのが望ましい。

    4. 接続政策
    5. 新たに策定された接続の基本的ルールに沿って必要な法改正作業を進めている。経団連から要望のあった長期増分費用方式の採用については、今後、検討していく。

    6. 国際政策
    7. 国際競争への対応に加え、技術開発や通信インフラの整備等で国際協調を行なうことも重要である。その際、通信事業者同士のみならず、コンピュータや放送など他業種も含めた、多様な提携が必要となろう。

  2. 懇談概要
  3. 経団連側:
    昨年2月の電通審答申では、NTTの国際進出は完全分離後に認めることになっていたが、今回、できる限り早い段階で認めることにしたのは何故か。
    團部長:
    答申の趣旨は、独占市場である地域通信部門と、長距離通信部門とを切り離すことにより公正競争条件を担保したうえで国際進出を認めるということだ。今回の措置はその趣旨に沿っていると考えている。

    経団連側:
    純粋持株会社方式による再編成が、本当に公正競争につながるのか。
    團部長:
    当面、東日本と西日本との間で、ユニバーサル・サービスの確保が跛行的になっては困る。また、国際競争に対応できるよう、研究開発の一元性を確保する必要もある。公正競争条件については、相互接続ルールもできるので可能と考えている。


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